ハリウッド映画の定番のテーマにアメリカ人がイタリアやフランスの生活に魅せられていくというのがある。舞台はイタリアならトスカーナやローマであり、フランスの場合はパリか南仏が多い。
たいていは極めて観光的なシーンであるが、こういう映画をぼくは結構好きだ。ステレオタイプだからこそ、米国と欧州の文化差の勉強にもなる。
生活するうちに、アメリカ人がいい様にフランス人やイタリア人に丸め込まれている(笑)。丸め込まれたと分かっても、それが嬉しいのだろう。
とにかく、ぼくはそういう映画で「イタリアっていいなあ」と思わずため息をつく。何度も実際にも行って経験したことのある光景であっても、だ(ミーハーなのだ)。
それも食卓の場面がいい。料理を食べているシーンで「いいなあ」と思うのは、イタリア、フランス、中国であるが、殊にイタリア料理は賑やかで華がある。かつ、「食べる」に勢いがある。
冒頭の「生活を楽しむ」だけでなく、次の「かっこいい」にも共に通じる要素が具体的に経験できるのが、実は、この食事の仕方と雰囲気ではないだろうか。
スパゲッティをさっさと食べるのでも、フィオレンティーナにがっつくのでもいい。あまりスノッブに気取らないのがいいのだ、きっと。
一見、泥臭く素直なのが新鮮に映る。
ちなみに、画像はすべてサッカー欧州選手権2020でイタリア代表が優勝した晩のミラノの風景。なんとも素が出ているでしょう?
【ローカリゼーションマップ】はイタリア在住歴の長い安西洋之さんが提唱するローカリゼーションマップについて考察する連載コラムです。更新は原則金曜日(第2週は更新なし)。アーカイブはこちら。安西さんはSankeiBizで別のコラム【ミラノの創作系男子たち】も連載中です。