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バイアスを自覚できるか? ミラノの王宮で開催、1500~1600年代の女性画家展から受けた影響

安西洋之
安西洋之

 ぼくが次に何を思ったのかと言えば、全体の構成や人物の身体の表現については男性画家との差異が見られないが、描かれた女性の目の表情に違いがあるのではないか、ということだ。

 そのうちに、このように展覧会の趣旨にあわせ、絵画の印象や解釈が左右させられるのが愚かであると思ってくる。だから先述したように、展覧会のタイトルや作家名が分からない場合、ぼくはこれらの絵画をどう見るのだろうか、と思ったわけだ。

 しかしながら、この展覧会を見たいとぼく自身が思ったのは、まさしく1500-1600年代の女性画家の作品が見たいからだった。自分が馴染みある風景の隣や裏にある様子を知りたかったのだ。

 だから、「これは皆さんがあまり知らないものですよ」との誘いにのるのは、「何か、違った表現があるに違いない」という目で作品をみるとの罠に自ら嵌りにいくことになる。

 いったい、どうすればバイアスのあまりかからない見方ができるのだろうと思う。まったくバイアスがないという真空状態のような目なんてありようがないので、どんなバイアスに嵌っているかを自覚できればとは願うのである。

 更にいえば、そのバイアスのありかを自ら認識できるのが専門家であろうか。16-17世紀の西洋美術史の専門家であれば、バイアスを具体的に指摘してくれるに違いない。

 ただ、専門家の解説がないと絵画を楽しめないか。そんなはずはない。

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