美術の展覧会で作品を眺め、解説を読みながら考えるべきことは多い。いうならば、「ああだ、こうだと」と頭のなかのさまざまな回路を使うこと自体が楽しい。
普段、使わない回路のありかに気づき、しかしそれがまだ自分には使える状態になっていないと知り、それをどう使いこなせるようにするか思案をはじめるのにワクワクするのだ。ちょうどよく知らない外国の地に降り立ち、普段ならまったくつまらないことに神経が昂ったりする、あれだ。
そういう観点からすれば、どんな展覧会であっても面白い。つまらない展覧会など一つもない…と豪語したくなるくらいだ。しかし、「これは理論的には正しいが…」という但し書きが必要だ。
「なぜ、この展覧会がつまらないか?」とのテーマも知的好奇心を誘うが、あまりに凝り過ぎると、単に「つまらない」と告白するのが嫌なためだけに屁理屈を言いかねない。あまりスマートではない。
だから、つまらないと思ったら、会場から足早に離れればいいだけの話だ。
それにしても、ミラノの王宮で開催されている展覧会は、まだはっきりと言葉に表現できないが、少なくともこのコラムのネタにはなるほどに、ぼくは影響をうけた(笑)。隣でやっていた展覧会も近々見に行こう。
【ローカリゼーションマップ】はイタリア在住歴の長い安西洋之さんが提唱するローカリゼーションマップについて考察する連載コラムです。更新は原則金曜日(第2週は更新なし)。アーカイブはこちら。安西さんはSankeiBizで別のコラム【ミラノの創作系男子たち】も連載中です。