こころの疲れ解消には「満足感」と「癒やされ感」
そして、「こころの疲れ」もあなどれません。こころの疲れは、身体の疲れや、脳の疲れからも引き起こされることがありますが、先行きが見えない状態が続いたり、在宅で仕事をすることで、日常生活とのめりはりが感じられないことでも生じ得ます。このようなこころの疲れを取るためには、「満足感」と「癒やされ感」が大切です。
ここでは「満足感」について考えてみましょう。在宅で仕事を進めていると、やったらやっただけの「手応え」がないことが多くあります。仕事がひと息ついたときに、それを共有する相手がいないこともひとつの理由ですが、どれだけやったらよいのかが見えていないことも原因でしょう。
職場でどんなに疲れていても、「やりきった!」という満足感があれば元気に帰宅できるものです。元気が余って、帰りにちょっと一杯、なんてこともあったのではないでしょうか。
しかし、いまの状況では、なかなか「やりきった」という感覚が持ちにくくなっています。そんなときには、一日の仕事内容を可視化することが重要です。見えない敵とばくぜんと戦い続けるよりは、全体が見え、部分部分も見えている状態で、ひとつ一つを丁寧にこなしていったら難攻不落のラスボスも倒せた、となれば大きな充実感も得られるでしょう。
となると、その日にすべき仕事のタスクリストを作って、ひと息つく毎にそれを消していくのが効果的です。タスクは具体的で、一日の仕事をいくつかの小さい項目で区切ったものがよいでしょう。
これは、脳では、目の前のハードルを越えるときに「報酬」として感じるしくみが働くことからも有効な方法といえます。タスクをこなして、それを消す、つまりひとつ仕事を完了して次の仕事に移ることで今日の大きな目標達成に近づいているということを意識できると、脳内でドーパミンという物質が情報を伝えるようになって、うれしい、たのしい、大好き、という気分にもなってくるものです。
タスクを時間で区切る場合には、ポモドーロ・テクニックという方法があります。タスクを「30分1本勝負」に区切って、25分進めたら5分は休む。休みの時間では、仕事の振り返りをしても良いですが、1時間程度、座って仕事をしたならば、一度は立ち上がって休憩を入れた方がよいでしょう。そうすると集中力も持続しやすく、仕事の効率も上がるといわれています。
あるいは、一日の終わりに日記をつけることも効果がある方法です。日記では、やったことを並べるだけでなく、そのときの感情も含めて振り返ると、自分を見つめる目が養えるので心の平穏にもつながります。なにか不安に感じていることがあれば、いちど脳の外に出すことで、安眠を得やすくなるかも知れません。
このように、この状況で感じやすい疲れの解消には、短期的には、いくつかの方法でアプローチできそうです。しかし長期的には、やはり「食事・運動・睡眠」の健康三本柱が大切です。脳も臓器のひとつ。持続可能性を高めるには、やはり、健康的な生活が効くのです。
【今日もビジネス脳天気】では、脳科学者の枝川義邦さんが、イノベーションを目指す経営者やビジネスパーソンに、ビジネスにかかわる脳の働きを様々な角度からわかりやすく解説します。