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「ローカルtoローカル」に商機 新潟を拠点にアプリ関連事業を展開する理由 (2/3ページ)

東京21cクラブ
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 「当時は『来月は給料ないかもしれないね』と言い合うほど、危機的な状況でした。でも、『一緒にビジネスをし続けるために、何でもやるぞ』という気持ちがありました。もともとの友人同士が集まっていたからこそ、一致団結して行動できたのだと思います。最初はアプリ制作サービスからはじめましたが、そこから『App Ape(アップ・エイプ)』という法人向けデータ分析サービス、さらにWebサイトをアプリに自動変換する『Joren』というサービスを出したり…とにかくピボットを繰り返しました。目の前のことに愚直に取り組んだ結果、徐々にビジネスは軌道に乗っていきましたね」

 現在同社は、二つの軸で事業を展開しています。一つは、どのアプリがいつ、どのような属性のユーザーに、どのくらい使われているかといったデータを提供するアプリ分析支援事業。事業の柱となっているApp Apeは、これまで国内外で5000社以上の企業に利用されています。もう一つは、アプリを含めたプロダクトの企画、開発、運用から分析までを一気通貫して支援する「共創事業」です。これまでNHKや任天堂株式会社、株式会社スノーピークといったさまざまな企業のプロダクト開発をサポートしてきました。

 地方から世界へとビジネスを広げていきたい

 フラーが今力を入れているのが、地方企業や起業家の育成、支援を中心とした地方でのビジネス展開です。その理由を、渋谷さんは「常に10年先を見据えてた結果」と語ります。

 「10年前は海外でスマホが急速にシェアを拡大しているデータを見て、アプリの会社をつくろうと決めました。そして今、その時と同じ大きな覚悟が生まれている。コロナによる人々のライフスタイルの変化が、次の10年を決めると思ったからです」

 渋谷さんによれば、今、海外では地方への若者の移住が増えているのだそう。新型コロナウイルスの影響でリモートワークが広がったことで、米国ではデンバーやシアトルといった地方に若者が集まりだしていると言います。

 今後、同様の流れは日本でも加速し、地方に人が集まり始めるのではないか。そうすれば地方発のビジネスが数多く生まれるようになるはず。渋谷さんはそう予想し、地方発ビジネスを生み出すエコシステムをつくるため、地方に拠点を移したといいます

 数ある地方のなかでも新潟を選んだのは、自身の出身地であることだけではありません。新潟の人口は日本で15位(2020年)、県内総生産(名目GDP)も16位(2019年)。高すぎもせず、低すぎもしない「平均的な」県である新潟でモデルを確立できれば、日本全国に展開できる。その実験の地として新潟がとても適していると考えたからだそうです。

 イベントでは、現在新潟で手掛けている取り組みのうち、いくつかピックアップして語っていただきました。

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