CONNECT in 丸の内

今知るべきIPO後の成長戦略 未来世代に引き継ぐ産業を創出するために (2/2ページ)

東京21cクラブ
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 朝倉さん「特徴的なのは、2017年のパブリックオファリングは国内で資金調達をしていましたが、2020年は全て海外市場のみを対象としていることです。あまり時間をかけずにできる『ABB(アクセラレーティッド・ブック・ビルディング)』がマザーズ上場企業の鉄板の手法として定着しつつあり、Post-IPOに対する資金提供もだいぶ進んできました。また、上場前ではありますが、2021年6月に発表された株式会社SmartHRの資金調達も印象的です。THE FUNDも出資しておりますが、今回のラウンドでは未上場と上場後の継続成長を支援する米国の投資家が中心となり、156億円という規模の金額を調達しました。全てのスタートアップが必ずしも上場前に大きく資金を調達していなければいけないわけではありませんが、産業を牽引するスタートアップになるためには、SmartHRのように戦略的に資本政策を講じることも今後重要になると思います」

 既存事業の成長に取り組みつつ、新規事業を生み出すには

 産業を牽引するスタートアップへと成長するため、戦略的な資金調達を行うだけでなく、新規事業も生み出していけるような組織づくりも求められます。

 平賀さん「モルフォでは、将来大きな利益をもたらすかもしれないと思う取り組みに20%の時間を費やすGoogleの『20%ルール』を導入したり、社内合宿で社員に経営理念を考えたりしてもらうなど、自発的に手を挙げて実践する取り組みを行っています。しかし、まだまだ受け身な印象も多く、もっと積極的にチャレンジしてほしいと思うことが多いです。新規事業にも取り組む場合、どのように社員を引っ張っていけばいいか難しいと感じています」

 この課題に対して、朝倉さんは「社員を引っ張る必要はないと思います。“混ぜるな危険”ではないが、既存事業の担当者に新規事業をやらせないほうが良いかもしれない」と語ります。既存事業と新規事業は求められる能力や風土が異なる部分が多く、ミクシィ時代には新規事業部門と既存事業部門のオフィスを分けようとしたことまであったそうです。

 朝倉さん「新規事業を作れるのは、与えられて実行するのではなく、誰にも頼まれてもいないのに自ら使命感を持って事業に取り組むアントレプレナーシップを持った人材です。そういった意識を持たない社員を変えるのは難しい。そのため、新たに採用をするか、もしくは新規事業には社長自身が主体的にコミットすることなどが求められると思います。例えば、印刷・広告のシェアリングプラットフォームを提供するラクスル株式会社は印刷通販の価格比較サイトサービス『印刷比較.com』から始まり、物流のシェアリングプラットフォーム『ハコベル』、運用型テレビCMサービス『ノバセル』など複数の新規事業を展開しています。どれも立ち上げフェーズは社長がコミットし、成果を上げていましたね」

 イベントの最後、両者からスタートアップに向けたメッセージが送られ、イベントは幕を閉じました。

 朝倉さん「社会課題を解決し、新たな産業を創出するプレイヤーが輩出できなければ、世の中の信認を得ることはできません。だからこそ、成功事例を増やし、スタートアップの取り組みを日本に根づかせ、多くの起業家を生み出すようなサイクルを作っていきましょう」

 平賀さん「日本の産業を盛り上げるためには、大企業はもちろん、スタートアップも関わりながら相互作用で良い影響を与えていくことは必須です。ぜひ我々にお声がけいただいたり、お聞きいただいた企業同士で連携したりしながら、頑張っていきましょう」

三菱地所が運営する「東京21cクラブ」は、ビジネス・アクセス共に利便性の高い東京駅前・新丸の内ビルに拠点を構え、国内外の先端スタートアップや大企業、その他様々なプロフェッショナル約600名が集うオープンイノベーションに特化した起業家支援コミュニティです。オンラインを含むイベントやセミナーなどを通じて、ミートアップなどの企業同士の交流の場を提供し、新規事業開発支援を行っています。

【CONNECT in 丸の内】では、三菱地所が運営する国内外のスタートアップとそのサポーター約600名が集う起業家支援コミュニティ「東京21cクラブ」による、イノベーション創出支援を目的とした活動の一部をご紹介します! アーカイブはこちら

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