Fromモーニングピッチ

フィンテック市場はまだまだ拡大する ベンチャーの競争は激化が必至 (1/2ページ)

大平貴久
大平貴久

 デロイトトーマツベンチャーサポート(DTVS)です。当社はベンチャー企業の支援を中心に事業を展開しており、木曜日の朝7時から「Morning Pitch(モーニングピッチ)」というイベントを開催しています。毎週5社のベンチャーが大企業の新規事業担当者や投資家らを前にプレゼンテーションを行うことで、イノベーションの創出につなげるのがねらいです。残念ながら新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策のためオンライン開催となっていますが、いずれ会場(東京・大手町)でのライブ開催に戻す予定です。

 モーニングピッチでは毎回テーマを設定しており、それに沿ったベンチャーが登場します。ピッチで取り上げたテーマと登壇ベンチャーを紹介し、日本のイノベーションに資する情報を発信する本連載。今回は金融(Finance)とIT(Technology)の掛け合わせによって創出される新しい金融サービス「Fintech(フィンテック)」です。

 国内のベンチャー市場は4年で5.6倍に

 Fintech市場は、銀行と外部の事業者との間を安全にデータ連携するための仕組みである銀行API(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)や、安全な仮想環境であるサンドボックスなど法的な環境整備を背景に成長しています。矢野経済研究所によるとFintech系ベンチャーの2018年度の国内市場規模は2145億円でしたが、2022年度は1兆2102億円に拡大する見通しです。

 こうした動きは日本に限ったものではありません。グローバルベースでFintech領域への投資は増えています。とくに活況なエリアが東南アジアで、件数ベースでみると実に半数近くがFintech系ベンチャーで占められています。

 サービス分野は多岐にわたる

 国内には約200社のFintech系ベンチャーが存在するといわれています。決済や融資、クラウドファンディング、個人認証、投資、保険など多岐にわたる分野でサービスが展開されており、変革を果たそうとしています。

 Fintechという用語は2013~2015年にかけて日本で浸透するようになりました。これまでの動きを振り返りますと、当初は「アンバンドリング(分解)」の動きが先行していました。アンバンドリングとは金融機関が提供してきたサービスをWebやスマートフォンに特化して新しいユーザー体験を提供するという流れで、金融市場には遠かった顧客層を掘り起こしました。これに伴い金融機関はFintech系ベンチャーとの連携を模索していきました。

 非金融系大企業との連携が進む

 2017年頃からは巨大な顧客基盤を活かして一元的にサービスを提供するリバンドリング(再結束)という動きが顕在化してきました。非金融系の大企業がFintech系ベンチャーと組むことによって金融機能を自社に取り入れたり、Tech系ベンチャーと金融機関が連携してTech系が金融機能を手に入れるなど異業種間のコラボレーションが急増しました。これによって多くのサービスが誕生しました。

 直近のキーワードは「Embedded Finance(エンベデッドファイナンス)=埋め込み型金融」です。金融の機能が買い物など日常の生活に埋め込まれ、無意識のうちに金融を使っているという意味です。リバンドリングという流れの中、気軽に提供できる仕組みが整っている状況です。これによってスピード感があるサービスの提供が可能なほか、免許が必要な業態でも気軽に金融サービスを導入できるようになります。

 具体的な事例が資産運用とアプリの開発・運営を行うTORANOTECと大手電力系のグループ会社との提携です。同社はWeb会員に向けて暮らし全般に役立つ情報を提供しており、TORANOTECの資産形成サービスが追加されました。

 今後のキーワードは「待たせない」など

 これからのFintech市場を読み解くに当たっては3つのトピックスがあります。ひとつはニッチなユーザーへのきめ細かな対応です。2つ目がユーザーを待たせないリアルタイムな対応です。例えば1~2カ月の期間を要していた資金調達を瞬時に行えるようにするケースなどが、どんどん増えてくるでしょう。3つ目が与信の領域で、新しいデータや解析手法の活用によるサポートです。これによって個人・法人がより活動的に動けるような与信のカスタマイズ化が加速していくことでしょう。

 今回は多岐にわたる領域からベンチャー5社を紹介します。

 株式型のクラウドファンディング

 ベンチャー企業に対しては年間で約4000億円が供給されており、その規模は6年間で5倍へと拡大しました。しかし、14兆円という米国のマーケットに比べるとまだまだ小さいのが現状です。この差を埋めるためイークラウド(東京都中央区)が提供しているのが、株式投資型のクラウドファンディングです。このクラウドファンディングを活用すると個人投資家は年間50万円以下の投資を行えます。イークラウドの強みはベンチャーの発掘です。

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