社長を目指す方程式

社長の必須能力…かつてリクルートも導入した「MBTI」で培う人間鑑定力

井上和幸

 《今回の社長を目指す法則・方程式:「MBTI」》

 こんにちは、経営者JPの井上です。社長を目指す上司の皆さんに問われるものの一つが「人物鑑定力」です。社員であれ、取引先であれ、人を見極め、付き合うのか付き合わないのか判断し、付き合う人たちを活かす力こそ、社長力の中でも必須の要件です。

 そうは言っても、相手のことをどうやって見抜けばいいの? 自分の見方は正しいの? といった疑問もあることでしょう。これを科学的にサポートしてくれるのが性格検査です。これまで様々な種類の性格検査が開発され使われてきています。御社でも採用試験などで使われているものがあるでしょう。

 前回、自分や相手の性格を知るためのパーソナリティ検査の代表格として「ビッグファイブ(特性5因子)理論」をご紹介しました。もうひとつ、グローバルで代表的なものとされメジャー企業を中心に長らく活用されてきたものに、「MBTI」があります。今回はこれを紹介しましょう。

 私たちは4つの指標、16タイプで理解できる

 「MBTI(Myers-Briggs Type Indicator)」は1962年に米国のマイヤーズ(Myers,I)とブリッグス(Briggs,K)によって研究開発された、類型論に基づいた自己理解メソッドです。

 ユングの心理学的類型論に基づく6つの指標(外向:E、内向:I、感覚:S、直観:N、思考:T、感情:F)に、判断的態度:Jと知覚的態度:Pという独自の指標を加えて4指標16タイプで性格を捉えます。「外向:E」と「内向:I」、「感覚:S」と「直観:N」、「思考:T」と「感情:F」、「判断的態度:J」と「知覚的態度:P」が対抗因子となり、図のように解釈されます。

 「外向:E」と「内向:I」はエネルギーの方向が「外の世界、人や物に向かう」か、「内的世界、観念や思考に向かう」かを表します。「感覚:S」と「直観:N」は知覚の方法が「五感を通して実際に起きていること、現実に向かう」か、「直感で事実を超えて可能性や未来に向かう」か。「思考:T」と「感情:F」は判断の方法が「頭で考える、論理的、客観的」か、「ハートで感じる、感情的、主観的」か。「判断的態度:J」と「知覚的態度:P」はライフスタイルが「計画好きで定められた行動を好む」か、「自由で流れに任せる」かを、それぞれ表します。

 かつてリクルート社員たちはMBTI型で互いのタイプを認識

 40歳くらいより上の世代で、新卒採用などでリクルートの適性検査SPIを受検したことのある方、人事などで取り扱っていた方はご記憶かと思いますが、このMBTIは開発された早々の時期にリクルートのテスト開発チームが知りライセンス供与を受け、日本版にローカライズされSPIに組み込まれて「TI型」と呼ばれ使われていました(残念ながら2000年代半ばでライセンス供与終了に伴い、SPIからTI型は外されました)。

 当時のリクルートの新入社員紹介冊子などにはこのTI型も記載されていて、お互い「お前、何型?」「俺、ESFP」とか会話されていたのです。ちなみに私はリクルート入社時はENTPで、先日、当社メンバーたちでWEBでの検査をしたところENTJでした。

 こういう因子を全社員で共有し、お互いのキャラクター理解の一助としていたのも、リクルート創業者である故・江副浩正さんの考える「組織活性化集団」の作り方の方策であったのだと思います。

 相手の個性を大掴みにでも知ることで、その人がどのような思考傾向、行動傾向にありそうかということも察しつつコミュニケーションする。そこに、対応上手、指導上手なリーダーが生まれるという側面は確かにありますね。

 「感覚:S」タイプなら現実的・具体的な会話が伝わりやすいし、「直観:N」タイプなら色々とイマジネーションを湧き起こすようなディスカッションが盛り上がる。

 「思考:T」タイプは何かの揉め事があったときに「どうした? 何があったんだ? 原因は?」とある面冷徹に対応しますが、「感情:F」タイプは「なに? 大丈夫? それは酷いな!」とエモーショナルな対応をします。「判断的態度:J」タイプはきっちりルールを決めて動かないとイライラしますが、「知覚的態度:P」タイプはざっくばらん(雑)な動きをしますので、細々と言われるとストレスですが、そんなPを見るとJはものすごくストレスを感じます(笑)。

 上司部下関係であっても、取引先やパートナーとの関係においても、タイプが異なれば考え方や動き方、感じ方が異なります。こうしたパーソナリティ因子タイプを把握しておくことは、どのような人にはどう接すれば良いかをわかりやすく判断し行動できるようにしてくれる有用なツールなので、専門家のように仔細に突っ込んで学ばずとも、因子の種類とタイプを頭に入れておくと非常に便利ですよ。

 TI型のローカライザー、SPIの開発者でもあるリクルート創業メンバー、故・大沢武志さんの著書『心理学的経営 個をあるがままに生かす』(プレジデント社)に創業時から90年代まででリクルートを中心に実証実験されたこれらの活用法について紹介されていますので、ご興味あるかたは手に取ってみてください。

 また、古本でしか入手できませんが、古今東西のヒーロー達が何タイプだったかを分析・紹介した『性格の研究』(木原武一・著、PHP文庫)は、「なるほど、あの人はこのタイプだったのか!」と楽しく読みながらタイプ理解を深めることができますので、更にご興味あれば入手してみてください(坂本龍馬、織田信長はENTP、西郷隆盛ISFP、豊臣秀吉ESFP、徳川家康ISTJ、勝海舟ENTJ、などなど)。

 折しもいまHRTechが盛り上がり科学的人事に注目が集まっていますが、その祖はMBTI~TI型にあったとも言えるでしょう。

▼“社長を目指す方程式”さらに詳しい答えはこちらから

井上和幸(いのうえ・かずゆき) 株式会社経営者JP代表取締役社長・CEO
1966年群馬県生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、株式会社リクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に株式会社 経営者JPを設立。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。
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