社長を目指す方程式

キャリアアップも部下育成も、研修を凌ぐ最強の方法とは?! (3/4ページ)

井上和幸

“経験7割、薫陶2割、研修1割”。

 人材育成・人材開発は、研修で行うのではなく、場(実際の職場、現場)だって? そんなこと言われてもにわかに信じがたい、という方もいらっしゃるかもしれませんね。

 しかし、実はこれ、人材開発の研究調査からも導き出されているものなのです。

 米国の人材開発研究機関であるロミンガー社の調査によれば、経営幹部として活躍するようになった人たちに「どのような出来事が役立ったか」について聞くと、「70%が経験、20%が薫陶、10%が研修」という結果であったそうです。

 同社の共同創業者であるマイケル・M・ロンバルドとロバート・W・アイチンガーは1996年発刊の書籍『Career Architect Development Planner』の中で「70:20:10の法則」を提唱。個人の能力開発の70%は現場での業務遂行による直接学習(経験)によるもので、20%がロールモデルとなる人や、メンターからの学び、間接学習(薫陶)、10%がOff-JT(通常の仕事を一時的に離れて行う訓練)、オフサイトでの研修によるという理論で、これは国や文化圏、あるいは産業や職種を超えてほぼ同じ数値に収斂されるそうです。

 個人の成長にとって最も重要なことは、研修を実施することや上司や先輩から学ぶことをはるかに超えて、まずは自分自身が日々の現場で良い経験をすることなのです。

 これもリクルートでよく使われていたフレーズで「仕事の報酬は仕事」というものがあります。今ではいろいろな企業でも使われているように思うこのフレーズ、自分の任された仕事を一所懸命にやり成果を出せば、その次により大きな仕事を任せてもらえる。いまどきの世相、仕事価値観では「いやいや、そんなに仕事で負荷かけてもらいたくないっす」という感じかもしれませんが(苦笑)、成長志向のコア人材、リーダー人材として成長していく人には共通の姿勢だと思います。

 更にはご存知の方もおそらく多い、「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ。」。リクルート事件が起こるまでのリクルートの社訓で、私もですが、このフレーズを座右の銘にされている人はリクルートOBのみならず、起業家の方などに非常に多く存在します。これこそまさに、自分自身の手で自分がチャレンジしたい場を手に入れ、そこでチャレンジし、成果を出すことで自分を成長させよ、ということを言っています。まさに、場、経験オリエンテッドなアプローチですよね。

今回の社長を目指す法則・方程式:

人材開発の「70:20:10の法則」

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus