静観する企業
近年、人手不足の産業を日本人に代わって支えてきた実習生と留学生のアルバイトには、いずれも業務や労働時間に大きな制約がある。単純労働分野にも門戸を開く新制度がうまく機能すれば、人手不足解消への有効な手立てになるのは間違いない。
大阪商工会議所人材開発部の鱧谷(はもたに)貴副参事は「新制度を歓迎する声は中小企業を中心にとても多い。特に関西はラグビー・ワールドカップ(W杯)や万博といったビッグイベントが続き、建設やインバウンド(訪日外国人客)の需要増も見込まれるためニーズは高いだろう」とみる。
ただ、新たに受け入れ対象となった業種の中では、特定技能資格の外国人労働者の雇用に慎重な企業も目立つ。特に接客業務が欠かせない外食業や宿泊業の関係者は日本語能力を不安視する。
大阪市内で日本語学校を運営する学校法人の理事長は「特定技能資格で求められる日本語能力試験のレベルは、日本語学校を卒業するレベルよりも低い。業種によっては留学生アルバイトの方が戦力になる」と言い切った。
多くの課題を抱えたままの船出となる新制度。「人材の質を見極めるためにも、様子を見たい」(外食業の人事担当者)と静観を決め込む企業がある中、今後どこまで受け入れが進むのかは見通せない。(林佳代子)
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関西はベトナムが首位
厚生労働省によると、全国の外国人労働者数は、平成30年10月末時点で約146万人で、前年同期比で14.2%増えた。国別では中国が全体の27%と最も多く、ベトナム(22%)、フィリピン(11%)、ブラジル(9%)と続いている。
一方、近畿2府4県と福井県を合わせた関西の労働者数は約17万4千人で、増加率は全国より高い19.9%。国別でベトナム(30%)が中国(28%)を同年に初めて上回った。近畿経済産業局は(1)技能実習生の働き先である製造業が多く立地(2)格安航空会社(LCC)が関西国際空港とベトナムの主要空港との間で直行便を運航(3)大阪府八尾市や兵庫県姫路市にベトナム人コミュニティーが存在-などの理由から関西でのベトナム人の就労が特に加速しているとみている。