ミラノの創作系男子たち

社会に溶け込む科学の「伝道師」 周囲を魅了する気負わぬ生きざま (2/3ページ)

安西洋之
安西洋之

 現在40代後半の彼はミラノ大学で生物学を学び、その後、働きながら2つの修士をとっている。演出と科学ジャーナリズムという2つの分野だ。それも、ある分野に飽きたとか限界を感じたからではなく、アンドレアは高校生の頃から科学伝道師として自立するための必須科目であると考え、計画的にそれらを制覇した。 

 現在の職場は、その願いを全て叶えてくれている。通常、このパターンは事業家か学者のような場合が多いが、勤め人でこのように満足できる職を得る人は少ない。

 演劇だけでなくドキュメンタリーの演出もやってきた。科学分野の本も書いてきたが、今年になってまったく新しい試みとして小説も出版した。どれが財団の仕事で、どれが自分自身の仕事なのか傍目にも区別がつかない。

 3人の娘の父親である。長女は21歳の生物学を勉強する大学生であり、その次は10歳と7歳。小学校への送り迎えは、彼が水道管でつくった長いフレームに3つサドルがある自転車だ。これで2人を乗せていく。

 夕食はアンドレアがつくる。料理は好きだ。時に娘を肩車しながら一緒につくる。「料理は愛する、とさえいえる。何でもつくる。パンとドルチェ以外はね」

 奥さんがパティシエなので、パンや菓子は奥さんの得意技なのだ。

 ワインは赤。食事のときだけでなく、書きものをするときも、リラックスするためにワインを飲む。泡ものは好きじゃない。

 週末はピエモンテ州とリグーリア州の境に近い山の中にある、数組の家族で運営している農家で畑仕事やチーズなどの農産品つくりに励む。力仕事も厭わない。そしてそれらを商品として販売する。

 農作業だけでなく、そもそも山が好きなのだ。だがスキーはやらない。

 「雪が嫌いなのだ。山をトラッキングするのは大好きだ」

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus