このような日常生活の風景にも、彼の伝道師としてのネタはある。ぼくは彼の口から何度かでるサスティナビリティという言葉が気になった。そこで「伝統とサスティナビリティの関係をどう説明する?」と聞いたとき、アンドレアは以下のように答えた。
「(団子のような)ポルペッタは、イタリアの伝統的な料理だ。余りもので作れるから、貧困の象徴でもあった。でも、その中身のメインストリームは時代によって変化を遂げてきており、ぼくの娘も喜んでつくる」
ポルペッタには、伝統とサスティナビリティの両方が備わっている。これを教材に使うのである。彼のお祖母さんから娘に至るまで、それぞれが好きなポルペッタを作っている画像を見せるのだ。そして、そこにある素材の科学を語る。
アンドレアにとって、人に語りかけたとき、その人が熱心に耳を傾けてくれる瞬間が堪らない。だが大学などの教員は「窮屈で合わない」と首をすくめる。
最後の質問を投げかけてみた。彼にとってクリエイティブとは何か?
「2つある。カラフルであること。それに社会性。これはコミュニケーションと言い換えてもいいかもしれない」
こんなに楽しい人、そうそういるものではない。
【ミラノの創作系男子たち】はイタリア在住歴の長い安西洋之さんが、ミラノを拠点に活躍する世界各国のクリエイターの働き方や人生観を紹介する連載コラムです。更新は原則第2水曜日。アーカイブはこちらから。安西さんはSankeiBizで別のコラム【ローカリゼーションマップ】も連載中です。