ミラノの創作系男子たち

社会に溶け込む科学の「伝道師」 周囲を魅了する気負わぬ生きざま (3/3ページ)

安西洋之
安西洋之

 このような日常生活の風景にも、彼の伝道師としてのネタはある。ぼくは彼の口から何度かでるサスティナビリティという言葉が気になった。そこで「伝統とサスティナビリティの関係をどう説明する?」と聞いたとき、アンドレアは以下のように答えた。

 「(団子のような)ポルペッタは、イタリアの伝統的な料理だ。余りもので作れるから、貧困の象徴でもあった。でも、その中身のメインストリームは時代によって変化を遂げてきており、ぼくの娘も喜んでつくる」

 ポルペッタには、伝統とサスティナビリティの両方が備わっている。これを教材に使うのである。彼のお祖母さんから娘に至るまで、それぞれが好きなポルペッタを作っている画像を見せるのだ。そして、そこにある素材の科学を語る。

 アンドレアにとって、人に語りかけたとき、その人が熱心に耳を傾けてくれる瞬間が堪らない。だが大学などの教員は「窮屈で合わない」と首をすくめる。

 最後の質問を投げかけてみた。彼にとってクリエイティブとは何か?

 「2つある。カラフルであること。それに社会性。これはコミュニケーションと言い換えてもいいかもしれない」

 こんなに楽しい人、そうそういるものではない。

安西洋之(あんざい・ひろゆき)
安西洋之(あんざい・ひろゆき) モバイルクルーズ株式会社代表取締役
De-Tales ltdデイレクター
ミラノと東京を拠点にビジネスプランナーとして活動。異文化理解とデザインを連携させたローカリゼーションマップ主宰。特に、2017年より「意味のイノベーション」のエヴァンゲリスト的活動を行い、ローカリゼーションと「意味のイノベーション」の結合を図っている。書籍に『イタリアで福島は』『世界の中小・ベンチャー企業は何を考えているのか?』『ヨーロッパの目 日本の目 文化のリアリティを読み解く』。共著に『デザインの次に来るもの』『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか?世界で売れる商品の異文化対応力』。監修にロベルト・ベルガンティ『突破するデザイン』。
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ローカリゼーションマップとは?
異文化市場を短期間で理解すると共に、コンテクストの構築にも貢献するアプローチ。

ミラノの創作系男子たち】はイタリア在住歴の長い安西洋之さんが、ミラノを拠点に活躍する世界各国のクリエイターの働き方や人生観を紹介する連載コラムです。更新は原則第2水曜日。アーカイブはこちらから。安西さんはSankeiBizで別のコラム【ローカリゼーションマップ】も連載中です。

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