社会・その他

食糧危機の“救世主”なるか 「人工肉」の期待と課題 (1/3ページ)

 本物の肉の味や食感を人工的に再現した「人工肉」が注目されている。動物から採取した細胞を培養する「培養肉」の研究が本格化し、植物を材料とした食肉代替品も相次いで商品化。世界の人口増加に伴う食糧危機の“救世主”として期待されているが、味や心理的抵抗感の払拭といった課題もある。(手塚崇仁)

 「将来、需要に供給が追いつかずに食肉の価格が高騰する可能性がある。肉を食べたくても食べられないときのために選択肢をつくりたい」

 今年3月、培養肉の「ステーキ肉」を日清食品と共同開発した東京大生産技術研究所の竹内昌治(しょうじ)教授は、力を込めた。

 開発された「ステーキ肉」は、牛の筋肉細胞を特殊な培地で育てた細長い筋繊維を層状に重ねて培養、長さ1センチ、幅0.8センチ、高さ0.7センチの弾力あるサイコロ状に固めたもの。今後は、肉本来の味を再現するのに不可欠な血液成分の注入や、細胞間の結びつきを強固にして肉自体を「大きく」していくのが課題という。

 細胞培養肉の研究開発に取り組むベンチャー企業「インテグリカルチャー」(東京)も、同様の難題と格闘している。同社は平成29年、人工鶏フォアグラの試作に成功。担当者は「難しさはあるが、なんとか解決し、2025年には培養ステーキ肉を完成させたい」と展望を語った。

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