--シニアの特性とは
「例えば、細かい文字の資料やタブレット端末などは加齢によって使いにくくなり、通院や介護などでの欠勤も増える。また、シニアは創造性やスピードを求められる仕事には向かなくなっていくが、語彙力や説明する能力は高く、悩みや困り事を聞くなど、人生経験を問われる仕事には向いている。こうした加齢に伴う生活変化や身体的特性を理解し、うまく付き合うのに必要なのが“ジェロントロジー(加齢学)”。経営者や管理職はもちろん、シニア自身もこういった視点を学ぶべきだろう」
--企業がやるべきことは
「シニアの特性を理解し、その企業の中にある“シニアに向いた仕事”を洗い出すべきだ。必ずしも若い人と同じような仕事、同じ拘束時間である必要はない。仕事を半分にして、副業を認めるなど、シニア世代向けの働き方改革も同時に推し進めていかなければならない」
--シニア世代に求められることは
「今のシニアは、働けば働いただけもらえる時代を経験し、働く=お金ありきの人が多いが、仕事にお金と置き換わる、生きがい、社会参加といった価値も見いだせるよう、考え方を変えるべき時代が来ている。シニアが働き続けるには、企業の環境、シニアの意識双方が変わり、歩み寄ることが必要だ。また、シニアは健康状態や家庭環境などが変わりやすいので、ライフプランは1年スパンで考えると良い。自分の状況や能力を的確に把握し、それに適した職場を探せる人が今後も社会で活躍できる」(加藤聖子)
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さきやま・みゆき 昭和40年、神奈川県生まれ。日本産業ジェロントロジー協会代表理事。自分楽代表取締役。加齢学に基づき企業にシニア人材の活用指導を展開。主著に「シニア人材マネジメントの教科書」。