今野浩一郎氏「競争力にダメージも」
--継続雇用年齢の引き上げについてどう考えるか
「労働力が不足する中、シニアにがんばって働いてもらう必要があるのは分かる。ただ、いま法律で70歳までの継続雇用を義務付けることがいいとは思わない。義務化すれば企業はそれに対応するとは思うが、やむなく雇用を続ける“置いてやる雇用”が増える。これでは働く側はやる気が出ない。労働意欲の低い大量のシニアを企業がかかえることになれば、企業の競争力にはマイナスになる」
--起業などへの支援も盛り込まれる
「そもそも65歳で起業しますか? 現実にはそういう選択をする人は少ない。多様な選択肢を示されても、選択する人は一部。とすると、実質上多いのは、これまで働いていた企業が継続雇用するケース。つまり、正社員として働いている人を70歳まで雇いなさいと求めているのに等しいので、それを前提に考える必要がある」
--今回は年金支給開始年齢の引き上げは行われない
「年金支給開始年齢前に年齢を理由に雇用関係を解消することは認めないというのが国際的な相場。わが国も同じように、退職年齢と年金支給開始年齢間に空白期間があるので、希望者全員を段階的に65歳まで継続雇用することを企業に義務付けている。この点からすると、65歳を超えて働くことを奨励する、あるいはそれを支援するのはいいが、年金支給が65歳からなのに70歳まで雇用しろというのは企業に頼り過ぎだと思う」