外国人が日本の山間部の小さな村を訪れて「ああ、これだ!」と感激する様子をよくみるが、そのような経験が息子にも必要だったのだ。
ぼく自身、イタリア各地の小さな村で働く人を多く見てきた。その経験がイタリア文化の理解を促してきた、という事実をあらためて思い出したのである。
「イタリアの田舎は最強である」というキャッチコピーは、まんざらではないと思いながら、その真意を掴もうとした。そして、息子もイタリアの田舎の夏を何年も過ごしてきた。
この経験から言えるのは、こういうことだ。
いわゆる「代表的な風景」が語ることは、一見、そう多くないようにみえる。だが、「代表的な風景」がなぜ「代表的」になり得るかを知るのは、それなりの知識と経験が要される。
「代表的である」ためには、強調すべき要素と削除した方がよい要素を選択するロジックの適用があるのだ。
したがって「代表的風景がもつバランス感覚」を自分なりに分かることが、ある文化を理解することなのである。
また、頭でそうと分かっていても、子どもの頭の中がどうなっているか親にもよく分からないとの教訓もある。やれ、やれ…。
【ローカリゼーションマップ】はイタリア在住歴の長い安西洋之さんが提唱するローカリゼーションマップについて考察する連載コラムです。更新は原則金曜日(第2週は更新なし)。アーカイブはこちら。安西さんはSankeiBizで別のコラム【ミラノの創作系男子たち】も連載中です。