ローカリゼーションマップ

「格差の象徴」ラグジュアリー企業 社会的批判は運命か (3/3ページ)

安西洋之
安西洋之

 合理性ではない世界観の定着を、関係企業が束になってトヨタと同じくらいのビジネス規模で図っている。それがラグジュアリー企業なのか。

 これは相当にエライことをやっている、と思う。しかも、前述したように常に社会的批判の標的になることを運命として受け入れているわけだから、胆力が必要である。

 ノートルダム寺院の火災後の対応については、その直後、「『スピード感』の罠から逃れよ ノートルダム大聖堂火災が問うもの」というコラムをぼくは、ここで書いている。

 もっと茫然自失とする時間をもったうえで、寄付を決める方が良いのではないか、とその時に思った。

 彼らのマーケティング戦略の一環であるとしても、宗教的な建物の趨勢に想いを馳せるにはもっと時間をかけ、「スピード感」「頭を素早く切り替える」といった言葉を一度は忘れるべきではないかと考えた。

 この意見は、ほぼ4カ月経た今も変わらない。ただ、ラグジュアリーのことを色々と考えているなかで、「やむにやまれず」といった表現が適切かどうかはさておいて、ラグジュアリーブランドを所有する人たちが、「即断せざるをえなかった」ほどに、普段の生活の個人的感情は、ギリギリに切羽詰まっていると想像してしまった。

 まったくご本人からすれば、余計なお世話だろうが。

安西洋之(あんざい・ひろゆき)
安西洋之(あんざい・ひろゆき) モバイルクルーズ株式会社代表取締役
De-Tales ltdデイレクター
ミラノと東京を拠点にビジネスプランナーとして活動。異文化理解とデザインを連携させたローカリゼーションマップ主宰。特に、2017年より「意味のイノベーション」のエヴァンゲリスト的活動を行い、ローカリゼーションと「意味のイノベーション」の結合を図っている。書籍に『イタリアで福島は』『世界の中小・ベンチャー企業は何を考えているのか?』『ヨーロッパの目 日本の目 文化のリアリティを読み解く』。共著に『デザインの次に来るもの』『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか?世界で売れる商品の異文化対応力』。監修にロベルト・ベルガンティ『突破するデザイン』。
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ローカリゼーションマップとは?
異文化市場を短期間で理解すると共に、コンテクストの構築にも貢献するアプローチ。

ローカリゼーションマップ】はイタリア在住歴の長い安西洋之さんが提唱するローカリゼーションマップについて考察する連載コラムです。更新は原則金曜日(第2週は更新なし)。アーカイブはこちら。安西さんはSankeiBizで別のコラム【ミラノの創作系男子たち】も連載中です。

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