現在はキャリアアドバイザーとして相談に乗り、大阪と東京で毎月交流会を開いている。参加費は無料だ。「履歴書の性別や面接時の服装を男女どちらにしたら良いかなど、特有の悩みを話し合える場にしたい」
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全国6万人を対象にした電通ダイバーシティ・ラボの調査によると、LGBTとQ(クエスチョニング=自らの性自認や性的指向がわからない)の該当者は8.9%にのぼった。9人に1人という高い割合に、カミングアウトの壁が見えてくる。
スカートをはき、ウィッグに化粧をしてカフェに参加していた40代のトランスジェンダー(体と心の性が一致しないが、外科手術は望まない人)は、普段は男性の服を着ているという。「毎日、男でいることが苦痛です。女性として生きたいけれど、誰にもいえない。田舎の親や親戚に知られたら勘当されます」
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LGBT専門の就職支援企業「JobRainbow(ジョブレインボー)」(渋谷区)は、ゲイの星賢人社長(25)が東大大学院在学中の3年前に起業した。求人サイトを運営し、独自の評価指標で「LGBTフレンドリー企業」を選定。求人は100社を超え、閲覧者は月間約40万人にのぼる。
「当初はハイキャリア人材を求める外資系の大企業が多かったが、徐々に地方の街工場やレストランなどの中小企業も増えて、業種も多岐に渡っている。その結果、LGBTを理由に就活に挫折してしまった人などの受け皿が広がってきた」と星さん。