話の肖像画

「情報製造小売業」へ、ムダ生まない情報戦略 ファストリ・柳井正氏(4) (2/2ページ)

 〈米巨大IT企業のグーグルと昨年夏、共同プロジェクトをスタートした〉

 有明プロジェクトのひとつです。なぜグーグルと提携したかというと、彼らは世界の情報を持っています。ほとんどの人はそういうことを考えないかもしれませんが、世界の情報を持っているのなら、そこと提携をするのが一番だと考えました。世界中のビッグデータや広大な画像分析で、流行する色やシルエットもいち早く分かる。

 同時に、ユニクロや低価格ブランド「ジーユー(GU)」が持っている膨大な情報も有効活用し、お客さまが欲しいと思う商品の企画や、精度の高い数値計画を効率的に行うことができると考えています。「情報製造小売業」の究極の目的は、「無駄な物をつくらない、無駄な物を運ばない、無駄な物を売らない」ということです。

 〈生産管理もITを駆使している〉

 ユニクロとジーユーは、販売数量の多いビジネスを展開しているため、シーズン中に追加生産による補充をしなければなりません。追加生産のタイミングの判断は、ビジネスに大きく影響します。追加生産が間に合わず、販売機会ロスを招いてしまうこともあります。有明プロジェクトの推進により、生産数量の予想精度の改善、企画から生産、あるいは生産リードタイム(発注から納品までの期間)の短縮など、物流改革が行われることで、こうした問題は解決しつつあります。これからは、AI(人工知能)やアルゴリズムなどの新しいプロジェクトがさらに加速していくと思います。(聞き手 吉村英輝)((5)は来週月曜日、9月23日に掲載します)

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