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ローソン「悪魔のおにぎり」 大ヒットを生かす、悪魔的ブランディング戦略 (2/4ページ)

秋月涼佑
秋月涼佑

 “悪魔”というわりに、万人受けするマイルドな奴

 昨年の10月に発売されるやいなや、1週間で120万個を販売。通常1年はかかる販売数を1カ月半で売ってしまったとか、その影響で一時は具材に使う青のり相場が高騰したとか、数々の伝説を打ち立てた「悪魔のおにぎり」。名前とは裏腹に縁起がいい感じさえしてきます。

 そもそもは、テレビで紹介されていた南極地域観測隊の夜食。たぬきうどんにトッピングされている天かすを使っていることから「たぬきおにぎり」と呼ばれる静岡発祥の食べ物にインスパイアされたとのことです。確かに、パッケージに描かれる可愛い悪魔は、たぬきに違いないですね。

 食べてみると“悪魔”というわりに、素朴でマイルドなどこか懐かしい味わい。日本人なら誰もがスッと受け入れられるのではないでしょうか。おばあちゃんも喜びそうな味。この“悪魔”と脅しておいて、実は誰にでも間口が広いちょっとツンデレなギャップ感も良かったのでしょう。

 「たぬきおにぎり」だったら絶対に売れていない

 もしこのおにぎりが、愚直に「たぬきおにぎり」と名付けられていたら、間違いなくこれほどのヒットはしなかったはず。それは、「南極地域観測隊のまかない飯」や「静岡発祥」などのショルダーコピーを付けても同じだったと思います。 

 通常、食品には使わない“悪魔”という言葉をあえて使ったこと。これが勝利への第一ステップだったことは間違いありません。でも、昔から、「まずい屋」と名乗りながら美味い飲食店が各地にあったり、歴史を紐解けば、食品ではないものの、シャネルが「エゴイストEGOIST」という香水を発売し一大センセーショナルを巻き起こしたりするなど、へそ曲がり大賞的なネーミング手法自体は存在してきました。 

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