仕事をしている社員の人は、「できたらそこの社長になりたい」と、みんな思っていると思うんです。なれる環境をつくりたい。世界中のどこで会社に入っても社長になれる、そういう会社にしたい。僕の2人の息子には、ガバナンスをやってもらいたい。同族企業でありながら、公開企業をやりたい。今の日本で言えば、トヨタ自動車ぐらいですかね。米国でいったら、ウォルマートとか、そういう会社。それがやっぱり、一番うまくいっている。そういう形が社員にとっても、公開会社で同族会社である形態にとっても、一番良いんじゃないかと思っています。
〈創業者の父、等氏は、柳井氏が25歳の時に実印を渡して事業を任せた〉
あの頃とは状況が違ってしまった。株式公開をする前までは、息子たちに「継いでくれ」と、ずっと言っていました。でも、株式公開の本質をよく考えたら、それは「会社を市場で売ります」ということです。僕がうちの息子に期待していることと、市場が求めていることは、違うのではないかと思いました。ユニクロがブレークする前かブレークしたころ、「悪いけれど、今までは社長になってくれと言っていたけれど、会長か副会長になってくれよ。そっちの方が社長になるより、よっぽど大変だし、よっぽど勉強しないといけないし、それが会社が成功するもとになるから」と、息子たちにお願いしました。
〈次世代に社長を引き継ぐには、あと何年かかるのか〉
ある程度の形をつけるのは、あと1年でしょうね。うーん、あと1、2年。でもバトンタッチする可能性があるかは、ちょっと分かりませんね。(聞き手 吉村英輝)