経済インサイド

まだまだ厳しい高校生の就活 「1人1社」の“掟”の重圧も (2/3ページ)

 厚生労働省によると、平成31年3月に高校を卒業した人の求人倍率は、前年同月比0.25ポイント増の2.78倍。4年連続で2倍を超えた。現場のスペシャリストしての期待が集まる高卒者だが、その採用には独特のルールがある。原則として1人1社までしか応募できないのもその一つ。具体的には、高校に寄せられた求人票の中から、教員が学業成績などを勘案して生徒に数社ほど提示する。生徒はその中から1社を選んで応募する。何社でも自由にエントリーシート(志願書)を提出できる大卒者とは事情が異なる。

 こうした採用形態だと、教員との親交がある企業に優位に働くケースもある。20年ぶりに高卒予定者の採用を再開したソフトウェア開発のコルモ(大阪市浪速区)は、春先から大阪市内の高校数十校に人事担当者が面談を申し入れたが、ほとんど会えずじまいだった。同社の奥州正幸社長は「高卒採用はハードルが高い。(採用者には)コンピューターの基礎からみっちりと教えるなど、よそにはない我が社で働くメリットを時間をかけてでも先生に理解してもらうしかない」と話す。

 ただ、高校側からすれば、設立後間もない企業や初めて求人してきた企業の場合、生徒に責任を持って薦めることが難しいというケースもある。「従前からおつきあいがあり、すでに何人も卒業生が働いている企業を選ばざるを得ない」(学校関係者)という事情もある。

 高校生にとっては1人1社しか応募できないことによる精神的なプレッシャーも大きい。高卒後、都内の建設会社に就職した男性(22)は「落ちたことを考えると夜も眠れない日が続いた」と胸の内を明かす。

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