ビジネストラブル撃退道

客の荷物を勝手に捨てた“トンデモ宿”騒動に見る「常識的であれ」の重要性 (2/3ページ)

中川淳一郎
中川淳一郎

 5人が通行の邪魔をしている場面がない場合は、完全に配送業者が悪者になるような展開だ。これに対し、反論するのもいいが、そもそも「他人にはかかわらない」「言葉遣いは常に丁寧に」ということを心がけなければ身は守れない。

 電車で席に座っている時に大股開きの隣の客を注意した場合、口論になるかもしれないだろう。こうした騒動に発展した場合、多分誰かが動画撮影をしている。とにかくどいつもこいつもツイッターの「いいね」とRT(リツイート)が欲しくてたまらないのだ。意を決して注意した結果口論に発展した自分の義憤が、「いいね」とRT稼ぎごときに利用され、場合によっては「小田急線激高オッサンの勤務先が判明! 大手一流商社の経理部所属、年収は? 妻は美人と評判。慶應出のエリート!」なんてことがメディアに書かれてしまうことになる。

 非があれば謝罪し、誠意ある対応を

 冒頭の「勝手に捨てた」件では、ホテル側の対応にあまりにも不可解な点があったため言語道断である。だが、時にはわざと怒らせるようなことをし、それをもってして悪評を巻き散らかされることもあるわけで、とにかくいかに理不尽なことをされようが「丁寧であれ」「決して怒るな」を従業員には徹底させなくてはならない時代だ。そしてもっとも重要なのが「非があった場合は潔く謝り、誠意をもって対応する」ことだ。

 今回の件では、よっぽど非常識な育ち方をしていない場合「勝手に開けた」という第一ステップでもうホテル側の対応はおかしい。その場合は「勝手に開けたことを心よりお詫び申し上げます」と述べたうえで、あとは賠償金の話にすぐさま持って行けばこうしてツイッターで暴露されることはなかったのかもしれない。

 ホテル側は“客がこの段ボールの中に大切なものが入っていることを客が伝えなかったから瑕疵はない”といった対応をしたのだという。ホテルの言い分を丸めると「あなたは大事であることを事前に伝えるべきだった」「そこを伝えないのに、こうして文句を言われても困る」ということだろう。いや、「そもそも開けるのがおかしいんですが…」と客が言いたくなる気持ちは分かる。ガレージキット自体は材料費がかかる上に依頼されて作ったもののため、賠償する必要があるのだが、男性が請求した額よりも大幅に下回る3万円の現金書留が送られ、男性は受け取らなかったそうだ。現在、彼のツイッターには激励の声が多数寄せられている。

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