スケートに熱心だったようにスポーツは好きだ。身体を動かすのは好きなのだ。しかし、ジムのメンバーだが、殆ど行くことができない。仕事が忙しすぎる。
かといって、仕事の忙しさで余暇を犠牲にしているとも言い難い。
この8年間、夏のバカンスに出かけたことはない。海や山で何週間か過ごすような時の過ごし方をしない。今年の夏もベルリンで作品を作っていた。
「砂浜でぼんやりするのが好きではない。山なんて特に気がめいる。ペルージャの実家に戻ってダラダラとするのはいいけど」と笑う。たまに怠惰になると聞いて、ぼくは安心した。
最後は、彼の仕事への姿勢で締めくくろう。
「自分の思索がどこに行きつくのかは分からない。それは一見するとリスクだ。だが、そのリスクがないと探索にはならない。リスクがないと思えたとしたら、それは既にあるものがどこかにあると思えるからだ。それでは前に進めない、あるいは意味がない」
前に進むことに意味があると信じるアーティストの心構えは、とても爽快だ。
【ミラノの創作系男子たち】はイタリア在住歴の長い安西洋之さんが、ミラノを拠点に活躍する世界各国のクリエイターの働き方や人生観を紹介する連載コラムです。更新は原則第2水曜日。アーカイブはこちらから。安西さんはSankeiBizで別のコラム【ローカリゼーションマップ】も連載中です。