ミラノの創作系男子たち

虐殺の地に「金色の花」2万7000本 歴史の記憶をとどめるために (3/3ページ)

安西洋之
安西洋之

 スケートに熱心だったようにスポーツは好きだ。身体を動かすのは好きなのだ。しかし、ジムのメンバーだが、殆ど行くことができない。仕事が忙しすぎる。

 かといって、仕事の忙しさで余暇を犠牲にしているとも言い難い。

 この8年間、夏のバカンスに出かけたことはない。海や山で何週間か過ごすような時の過ごし方をしない。今年の夏もベルリンで作品を作っていた。

 「砂浜でぼんやりするのが好きではない。山なんて特に気がめいる。ペルージャの実家に戻ってダラダラとするのはいいけど」と笑う。たまに怠惰になると聞いて、ぼくは安心した。

 最後は、彼の仕事への姿勢で締めくくろう。

 「自分の思索がどこに行きつくのかは分からない。それは一見するとリスクだ。だが、そのリスクがないと探索にはならない。リスクがないと思えたとしたら、それは既にあるものがどこかにあると思えるからだ。それでは前に進めない、あるいは意味がない」

 前に進むことに意味があると信じるアーティストの心構えは、とても爽快だ。

安西洋之(あんざい・ひろゆき)
安西洋之(あんざい・ひろゆき) モバイルクルーズ株式会社代表取締役
De-Tales ltdデイレクター
ミラノと東京を拠点にビジネスプランナーとして活動。異文化理解とデザインを連携させたローカリゼーションマップ主宰。特に、2017年より「意味のイノベーション」のエヴァンゲリスト的活動を行い、ローカリゼーションと「意味のイノベーション」の結合を図っている。書籍に『イタリアで福島は』『世界の中小・ベンチャー企業は何を考えているのか?』『ヨーロッパの目 日本の目 文化のリアリティを読み解く』。共著に『デザインの次に来るもの』『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか?世界で売れる商品の異文化対応力』。監修にロベルト・ベルガンティ『突破するデザイン』。
Twitter:@anzaih
note:https://note.mu/anzaih
Instagram:@anzaih
ローカリゼーションマップとは?
異文化市場を短期間で理解すると共に、コンテクストの構築にも貢献するアプローチ。

ミラノの創作系男子たち】はイタリア在住歴の長い安西洋之さんが、ミラノを拠点に活躍する世界各国のクリエイターの働き方や人生観を紹介する連載コラムです。更新は原則第2水曜日。アーカイブはこちらから。安西さんはSankeiBizで別のコラム【ローカリゼーションマップ】も連載中です。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus