ビジネスパーソン大航海時代

慶大出身の元医師が起業で「早く大きく人の役に立つ」~航海(15) (2/3ページ)

小原聖誉
小原聖誉

 「私はもともと多くの人の役に立ちたいと思い、医師を目指し、社会に実装するために研究に重きを置いていました。残念ながら研究というのは非常に時間もかかります。そして閉鎖的な世界でもあります。その点、ビジネスは自分次第で早く成長ができ、研究のアプローチはそのまま活きます。そう考えると、ビジネスで大成した方が早く、大きく人の役に立てるのだと思って起業の道に進むことにしたのです」

 まずは漁師コミュニティを開設

 変遷した理屈はわかりましたが思い切りましたね。

 「今の時代は昔に比べ起業をするのが簡単です。リスクはありません。医師免許は取得し臨床医として3カ月勤務したのですが医師単体でできることは限りがあり極めて労働集約なのです。医師だけでなんとかなることがあり、むしろ現場ではなんとかするしかない。それを続ける良さもあると思いますが、自分としてはそこに時間を使うよりも事業を作って多くの人に提供したいと確信をしました」

  最初から起業テーマは決めていたのですか?

 「いえ。決めていませんでした。ただし、研究テーマを探すのと同じだと思っていたのでそんなに怖くはありませんでした」

 どのように今の事業を見つけたのでしょうか?

 「各産業の大きさや成長率、そしてFacebookの上でコミュニティがあるかを抽出しました。最終候補が2つあったのですが、漁業をテーマにしました」

 漁業ですか!今までの話にまったく関係がないですがご経験が?

 「全くありません。しかし、漁業はすごく古く、とても大きい。でも古い業界だからといってもスマートフォンを持っている漁師は多い。調べれば調べるほど、漁師はローカルになっており、情報共有がなされていないことがわかったのです。たとえば漁法は同じでも別の地域の漁師はコミュニケーションをとれていないのです」

 それは大きい負ですね。効率化がされていないことが伺えます。

 「まさにそうです。Facebookに漁師のコミュニティがあるか調べたところ誰も提供していなかった。そこで、まずはコミュニティを開設したのです。漁師の方が増えれば自ずと事業開発もできると思ったからです」

 開設して反響はいかがでしょうか?

 「漁師の方にものすごく感謝されました。北海道から沖縄までの漁師が情報交換をする場所がはじめて出来たわけですから。現在2000人の漁師をはじめとする漁業関係者が集まっています。毎月その数は増えています。毎日3件くらい投稿されていて1投稿あたり約200件のいいねがついており活況です」

 今後はどのように運営されていきますか?

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