キャリア

「角が立っていても、和をなせる場が五輪」 2020大会エンブレム考案者の願い (2/2ページ)

 --活動の原動力は

 「決してハッピーなことが原動力ではない。2001年9月11日の米中枢同時テロから『つなげる』をテーマに創作するようになった。世の中を変えてやるとは思っていないが、大きな断絶を見たときに、あきらめたくないという気持ち。何代先も遺恨を残す宗教対立など解決は難しいが、つながるということを訴えたい。大会期間に戦争がないということはニュースにはならないが、実はすごいことだ」

 いかに記憶に残るか

 --何をもって大会の成功と考えるか

 「どういうふうに記憶に残るかが大事。大会をきっかけにアスリートになろうする人がいればいい。自動運転とか大きな社会実験ができるチャンスでもある。自分ができるのは、つながっていく概念を広めること。東京五輪にアンチ(反対)の人がいるのは理解できるが、少しでも多くの人に大会が開催されてよかったと思ってほしい」

 --大会後は

 「2030年冬季五輪では、札幌がまた開催地になるかもしれないし、どこかで関わりたいという思いはすごくある。コンペに挑戦できるようなコンディションでいたい」

 五輪・パラリンピックにデザインから深く関わる人に、大会への期待を聞く。((下)は明日1月12日に掲載します)

【プロフィル】野老朝雄

 ところ・あさお 新宿区出身。平成4年、東京造形大卒業。建築を学んだ後、建築家・美術家の江頭慎(しん)氏に師事した。13年から独学で紋様の制作を始める。テーマは「つなげること」で、部分を組み立ててつながるデザインを目指している。ビルの入り口壁画などで多くの作品を生み出す。東京大建築学科非常勤講師。

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