働き方

優秀な社員ほど流出する会社は「ジャニーズ事務所」と同じだ (1/3ページ)

 吉本興業やジャニーズ事務所など、タレントと芸能事務所の契約関係が大きな話題を集めるようになった。ネットニュース編集者の中川淳一郎氏は「このところ話題になっている芸能事務所の契約変更は、一般企業の人事施策にも役立つ部分がある」と指摘する--。

 芸能界の「闇営業」問題に絡んだ“予兆”

 2019年、世間で盛んに話題にされたことのひとつが、芸能界の「闇営業」である。

 この闇営業について「タレントが反社会勢力の仕事を受注すること」と理解している人も少なくないが、本来の意味は「タレントが事務所を通さずに仕事を受注し、中間マージンを抜かれることなく報酬を得ること」を指している。

 昨年は多くの芸人が謹慎処分をくらったが、なかには事務所からマージンとして抜かれる額が多過ぎて、困窮のあまり闇営業に手を染めた者もいた。

 そして2020年、闇営業問題でもっとも目立った吉本興業は(ロンドンブーツ1号2号の田村淳がコメントしていたことによると)、報酬が5万円までの仕事であれば、事務所を通さずに引き受けてもよいことになったという。これは、芸能事務所としては大幅な譲歩といえる。

 こうした動きは、今後、芸能人と事務所の関係性が変わっていくことの予兆と捉えてもよいだろう。そしてこの機運を、単に芸能界だけの変化として、対岸の火事のように眺めているだけではいけないとも思う。むしろ、効果的な人材マネジメントのヒントとして、一般企業としても動向を注視しておく必要があると、私は考えている。

 ひとたび売れたら大金持ち。だから耐える

 芸人の貧乏話はいろいろ耳にするが、私が聞いたなかでもっともすさまじかったのは「1カ月の給料が13円」というものだ。2000年代半ばごろ、芸能人がこぞって参入していた「着ボイス」のダウンロード1回分の印税額だという。しかもこれは芸人本人が自腹でダウンロードしたものらしい。仮に販売額が100円だったとしたら、87円は本人の「持ち出し」に相当することになる。

 「芸能人」という職業は当たれば超大金持ちになれるだけに、売れていない時代の極貧も「自分はまだ下積み中だから」などと甘んじて受け入れる素地がある。さらに事務所は「貧乏がつらい? オマエが売れないのが悪い」「オマエを育てるためにこれまでいくらかかったと思っているのだ」といった調子で、時には突き放すようなことすら言ってくる。確かに正論なのだが、やりがいを搾取していると見ることもできそうだ。

 とはいえ、ひとたび売れてしまえば月収が何千万単位、億単位になったりすることもある世界。だから彼らは事務所の方針に従い、売れる日を夢みて働き続ける。

 ギャラを3~4割、事務所に抜かれ続けて

 しかしながら、事務所にギャラの3~4割を抜き取られる日々が続くと、次第に不満がたまってくることは容易に想像できる。なかには9割取られる事務所もある、とも報じられている。一方で、仮に売れているのがタレント1人程度の事務所に、とくに売れてもいないその他のタレントが十数人もいたら、正直なところ売れっ子のギャラを3~4割を抜く程度では運営もギリギリになることだろう。結局、その売れている1人に頼り切りとなり、他はどうにか「売れっ子のバーター」で露出を増やしていくしかない。

 育ててもらった恩、仕事を獲得してきてくれた恩は感じつつも、ギャラの中間搾取に悩む売れっ子タレントと、ごく一部の売れっ子に頼り切りで、万が一独立でもされようものなら一気に経営が火の車になってしまいかねない事務所。それが人気芸能人と事務所のあいだでわりとよく見かける関係性なのである。

 独立劇が目立つ最近のジャニーズ

 そうはいうものの、近年、売れっ子芸能人の独立が目立つのも事実だ。とりわけジャニーズ事務所の所属タレントが目につくが、筆頭は元SMAPの3人--稲垣吾郎・草なぎ剛・香取慎吾による「新しい地図」だろう。

 独立後、3人での活動を開始してから2年5カ月ほど経過した彼らだが、香取慎吾が週刊誌『女性セブン』のインタビューで「3人で話したことが全部叶った」と語っているように、順風満帆な第二の人生を送っている様子だ。香取以外の2人にしても、SNSやブログで充実した生活を報告しており、「ああ、ようやく自由になったのだな」「身軽になれてよかったね」と言いたくなる。

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