最初から計画の「正解」を求めるな!
ここで皆さんは、「そうは言っても、実際にやってみないと、それぞれどれくらいの数値が正しいのか、妥当なのか、分からないよ」と思うでしょう。日本人の真面目なところといいますか、ある面下手なところ、悪いところとも言えるのが、「最初から正解を求めてしまう」ところにあると思います。社長や上司も悪いのです。「おい、この数字の根拠は何だ? 合ってるんだろうな?」と計画段階で詰めてしまう人が非常に多い!
このXYZ仮説の運用の重要なところは、「仮説数値は当初的外れなものであっても全く問題ない」というところにあります。重要なことは曖昧な思考を排除し、チーム内の「暗黙の了解」をまず浮かび上がらせることにあります。そのツールとしてXYZ仮説は非常に役立ちます。最初はあくまでも担当者やチームの想定する仮説数値を代入すればOK。そこからこれを、テストやモニタリングを繰り返して、挿入数値の精度を上げていくことこそが、事業や戦略の成功への道筋となるのです。
上司の皆さんには、スタート時点であまりに正解にこだわりすぎて仮説設定がなかなかできなかったり着手が遅れるようなことを避け、「当初は間違っていていいのだ」という前提に全員で立ち、いったん具体的な数値を置いてみる。そして、実際どうなのかをスモールスタートでテストや検証を繰り返し、実際の数値の妥当性、適切さを探っていき、どんどん数値を上書き修正していく。
大事なことは、計画時のXYZの正しさではなく、実際のXYZはこうだったんだという回答に最速で辿りつくよう動くことなのです。既存事業の目標達成であれ、新規事業の立ち上げであれ、結果を出す社長や幹部は、この一連のアクションに長けているのです。
アルベルト・サヴォイア氏は「XYZ仮説は、曖昧な思考を排除するための特効薬になる」と言います。さあ、いますぐ、あなたの担当事業、戦略、業務について「XYZ」を書き出してみましょう! すらすら書き出せるなら、おそらくその戦略や業務はすでに成功しているはず。書き出せないなら? 心配いりません、スタートラインにすら立っていない社内外の競争相手に、一歩先んじて「正解値」を求めるゲームを開始しましょう!いますぐに、です。
【社長を目指す方程式】は井上和幸さんがトップへとキャリアアップしていくために必要な仕事術を伝授する連載コラムです。更新は原則隔週月曜日。アーカイブはこちら