ビジネスパーソン大航海時代

愚直なエンジェルは「日本を代表するスタートアップを作りたい」~航海(19) (2/3ページ)

小原聖誉
小原聖誉

 「これから伸びる業界に行こう!と決めて転職活動をしました。IT業界に移ってコンサルタントになった後に、2002年サイバードという会社に入社することになります」

 2002年!ケータイバブルと言える時期ですね。

 「はい。少し前にiモードができて、サイバードがケータイ向け有料課金コンテンツ業界ではすごい勢いで伸びていました。勝ち組の会社は、こうもヒト・モノ・カネ・情報が自然と集まってくるのかと思い、時代の大波に乗る事の重要性を知りました」

 サイバードでの代表的なお仕事を教えてください。

 「占い課金サイトです。江原啓之先生の占いサイトを立ち上げまして、それが年間数十億円くらいの売り上げで、あの時の経験が自分の最初の成功体験でした。とにかく毎日売り上げが伸びていくのを見るのが楽しくて睡眠時間を削って仕事をしましたし、色々な業界の人とも繋がりができました。特に会社が良いポジションにいたので、エンターテインメント系の主要な会社にはほぼアクセスできたと思います。その後、自分の中でやり切った感もあり、iモード公式サイト神話の勢いが崩れてきた2006年にグリーに転職しました」

 2006年!グリーの黎明期ではないですか?

 「そうですね。まだ20番目くらいの社員でした。当時グリーはPCからモバイルにシフトする戦略を取り始めた端緒で、僕がモバイル業界経験者第1号として採用されました」

 なるほど、サイバードで頑張ったかいがありましたね。

 「はい。運がよかったです。面接はなんと1回だけで決まったのですが、5時間もの長時間に及びました。まず取締役が出てきて、次にCTOや副社長になって、最後に代表の田中良和さんになって。その時点でもう終電が無かったんですけど、入社するって言わないと帰れない雰囲気で(笑)。翌日ぐらいから、平日夜とか休日にグリーに行って仕事してました」

 それからグリーは大きく伸びることになりますよね。

 「そうですね。7年半くらい在籍しましたが、20回くらい新規事業や組織立ち上げをやりました。例えばグリーの広告宣伝の初代責任者を務め、最初はネット広告のアフィリエイト広告を月数十万円くらい出稿することから、最終的に月数十億円くらい使うようなテレビCMの全国放映や渋谷の駅前ジャックなどを実施しました。それを1年くらいで一通り経験しましたから激動でした」

 グリーの事業に大きく貢献されてストックオプションを得て、エンジェル投資の原資にされたのですね。

 「はい。当時は責任者候補として期待されていたと思いますので、会社から付与されたストックオプションが、社員としては比較的多い方でしたし、会社が想像を超えて成長して上場後に6000億円以上の時価総額になったのも運が良かったです」

 iモード黎明期のサイバードとSNS黎明期のグリー、2社ご経験されたことはどう生きていらっしゃいますか?

 「サイバードは80人の時に入社し、最大数百人くらい。グリーは20人の時に入社し最大2500人くらいになっていました。その間に事業上、組織上での課題や解決方法など、拡大の成長痛と対策をかなりの数体感したことやその時の観察力が、スタートアップへのエンジェル投資に生きていると思います」

 「この若者たちを手伝いたい」

 そして、グリーを退職後にエンジェル投資に入っていかれることになります。

 「実は最初不動産投資をやって楽して暮らそうと思っていました。僕に不動産投資を教えてくれた人が、マネーフォワードの辻庸介さん(2017年マザーズ上場)だったんですけど、偶然の縁で知り合って仲良くなりました。僕がスタートアップの事業のブレストに付き合う代わりに、彼に不動産投資を教えてもらうという関係でした」

 なるほど。あまりエンジェル投資とは関係がないところからスタートだったのですね。

 「辻さんはとにかく人たらしですごく魅力的な人です。ですから僕が過去の同僚や友人を紹介したらみんなマネーフォワードに入社したんですね。それで辻さんに感謝されて、“三木さんにすごくお世話になったから出資しませんか?”とお声がけ頂いたのですが、僕は当時不動産投資で頭がいっぱいだったのでその場ですぐに断りました。今思うと、あれは本当に大失敗でしたね。なぜならその後マネーフォワードは上場して1000億円の時価総額の会社になります。もしあの時に出資していたら…、どんなに大きいリターンがあったでしょうか、無念です。“エア投資”と言って胸を慰めています」

 それはもったいないですね…。

 「結局ローンが下りなくて不動産投資もできなかったので、失意のどん底でした。そのような時に、たまたま自分の知り合いが紹介してくれたのが、いまや日本を代表するシードVC(ベンチャーキャピタル)のイーストベンチャーズ松山太河さん、衛藤バタラさんでした。そこですごく意気投合してファンドに出資することにしました」

 なるほど、直接スタートアップ単体に投資をしたのではなく、まずはVCのファンドに出資したのですね。

 「そうです。当時はまだ1回も投資とかしたことないのに、いきなり家一軒分くらいの金額を勢いで出資しました」

 ファンド出資した後にはどのようにスタートアップと付き合っていったのですか?

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