ビジネストラブル撃退道

コロナ対応に見る「お願いする」の愚かさ 国・自治体トップは企業を見習え (2/2ページ)

中川淳一郎
中川淳一郎

 上に立つものは「命令」しろ

 他の国は一斉に「海外旅行するんじゃねぇ!」「国境全部封鎖だ!」と、ヤバいと思ったらソッコーやってしまう。それに対して「聞いてないよ~」と国民は思いつつも「チッ、しょーがねぇな」となる。それを破ったら罰金を取られたりヘタすりゃ逮捕されるからだ。

 これにより秩序は保たれる(って、欧米は保たれてないけど)わけであり、お上に従う風潮があり、衛生観念の高い日本では、諸外国よりも封じ込めはラクにできる土壌があるというのに、リーダーが弱腰かつ、国民が「お客様は神様です」意識があるから今の間抜けな状況が続いているのである。2月27日の一斉休校要請については、当初子育てをする親を中心に猛烈なブーイングが寄せられたが、ウイルスの拡散防止の観点だけを考えれば結果はオーライだったのではないか。

 議員と公務員と医療関係者はあくまでも我々が税金や保険で養っているんだから、我々はお客様である。そんなお客様に対して命令とは何事だ! せめて「お願い」にしろ! お前たちに我々を強制する権限などはない。我々の人権の方が重要だし、お前らからの「お願い」にしても我々の親切な「協力」によって成り立っているんだぞ! という意識がある。

 こうした「お願い」が3月末の3連休についに弾けまくった娯楽への欲望解放的行動に繋がったわけだが、これはビジネスの世界ではやってはいけない。

 とにかく上に立つものは、少しでもヤバいと思ったら「やるな」「撤退しろ」「打ち切れ」などと「命令」をしなくてはならないのだ。恐らく多くの組織のリーダーは「お願い」などはしないだろう。「もうあの取引先、金払い悪いから切ろう」と即決したり、「改善をお願いしたい」ではなく「改善してください」と言うのがまともなリーダーの言葉である。

 強い調子で命令されれば、それを違反した者は徹底的に糾弾され、ネットに実名・顔写真が晒される時代である。その恐怖は分かっているだろうから、今こそ国・自治体のリーダーは企業のリーダーと同様にビシッと国民に対して「命令」をした方がいい。今は文句は多数出るだろうが、いずれ「あの時のリーダーシップは見事だった」と言われる日が来る。今回の蔡英文・台湾総統が今評価されているように。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう) ネットニュース編集者
PRプランナー
1973年東京都生まれ。1997年一橋大学商学部卒業後、博報堂入社。博報堂ではCC局(現PR戦略局)に配属され、企業のPR業務に携わる。2001年に退社後、雑誌ライター、「TVブロス」編集者などを経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『謝罪大国ニッポン』『バカざんまい』など多数。

【ビジネストラブル撃退道】は中川淳一郎さんが、職場の人間関係や取引先、出張時などあらゆるビジネスシーンで想定される様々なトラブルの正しい解決法を、ときにユーモアを交えながら伝授するコラムです。更新は原則第4水曜日。アーカイブはこちら

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