過去には頓挫も
新型コロナウイルスの影響で、選挙をめぐる状況が一変している。各候補者は接触リスクを減らそうと、7年前に解禁されたインターネットやSNSを活用した選挙戦を展開する。ただ投票は今も、紙と鉛筆のまま。打開策として期待される投開票のIT化だが、過去には苦い歴史もある。
投開票のIT化のビジョンが初めて提示されたのは平成11年。自治省(現総務省)が海外事例をもとに、(1)指定投票所での電子投票(2)全国どこの投票所でも電子投票が可能(3)場所を問わないインターネット投票-の3つのステップを示し、14年に電子投票法が施行された。全国の10自治体が第1段階の電子投票を導入した。
しかし、15年の岐阜県可児市議選でサーバーの不具合が起こり、裁判の結果、選挙が無効になる騒ぎに。これを機に、電子投票から撤退する自治体が続出した。現時点での実施自治体はゼロだ。
ただその後、通信技術の発達やスマートフォン、タブレット端末などの安価で高性能な機器の登場により、投開票のIT化を検討する動きが再開。海外では北欧のエストニアが、IT化の最終段階であるネット投票を各種選挙で積極導入するなどの例も出ている。
選挙制度に詳しい東北大の河村和徳准教授は、新型コロナウイルスの感染拡大が「投票制度を見直す機会になる」とみる。法改正などの必要はあるものの、まずは候補者名や政党名を自筆する自書式投票から、記号式投票(マークシート式)に切り替える手法を提案し、「有権者や自治体側の負担を減らす投票方法を考えてほしい」と述べた。