ビジネストラブル撃退道

職場でアイス食べる新人を変人扱い? 机にキャベツ入れてた私が伝えたい事 (2/2ページ)

中川淳一郎
中川淳一郎

 博報堂の“キャベツ男”

 これまでの普通の生活を彼らは維持しただけの話だろう。「社会人たるもの学生気分が抜けてはいかーん!」ということがこの記事の趣旨ではあるものの、「社会人になったから禁酒しろ」「社会人になったからゲームをやめろ」といったことは「学生生活の延長」扱いはされない。

 なぜか「おやつ」だけが問題視されたわけだ。確かに職場でアイスをペロペロなめていたりしたら違和感はあるかもしれないが、私はなんと職場で千切りキャベツを作っていたのである。ランチは摂らないうえに、昼休みも取らないのだが、朝10時になると会社の入ったビルの地下1階のスーパーへ行き、アジフライとホウレンソウの胡麻和えとスープ春雨を買う。

 これで何をするかといえば、毎日のように「アジフライサンド」を作るのだ。オーブントースターですでに購入している8枚切りの食パン2枚を焼き、机の引き出しの中から取り出したキャベツを給湯室のまな板の上に乗せて千切りキャベツを作るのである。味付けは惣菜コーナーに置いてあるソースを2袋。パンが焼けたら千切りキャベツをパンの上に敷き詰め、アジフライを乗せ、同様に引き出しに入れたスライスチーズを挟んでゴージャスなアジフライサンドを作り、スープ春雨とホウレンソウ胡麻和えとともに食べてブランチとするのだ。

 かくして「今年の新人は当初思っていたよりもっとも変人だった」という評判が部署内にすぐに蔓延し、「あいつはランチに行かない」「あいつは引き出しにキャベツを入れている」というポジションを獲得できたのである。

 安易に「モンスター」扱いはするな

 その後は「あいつはそういうヤツだ。まぁ、仕事は熱心だけどね」的な評価をされて、私のこの非常識な行為は黙認されるようになった。ただし、ある日部署に謎の赤い虫が発生し、「あれは中川の引き出しのキャベツから発生したのではないか!」という疑惑が取りざたされ、引き出しにキャベツを入れることは禁止されたのである。

 さすがに衛生的にキャベツはどうかと思うが、「あいつはああいうヤツ」ということをいかに周囲に思わせるかが快適な社会人生活を送るにあたっては重要である。多少変人扱いされたとしても、気にせず「我が道をいく」を皆で貫こうではないか。あと、周囲の人も安易に「モンスター新入社員」扱いはしない方がいいと思う。異物を受け入れられない組織は衰退するぞ。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう) ネットニュース編集者
PRプランナー
1973年東京都生まれ。1997年一橋大学商学部卒業後、博報堂入社。博報堂ではCC局(現PR戦略局)に配属され、企業のPR業務に携わる。2001年に退社後、雑誌ライター、「TVブロス」編集者などを経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『謝罪大国ニッポン』『バカざんまい』など多数。

【ビジネストラブル撃退道】は中川淳一郎さんが、職場の人間関係や取引先、出張時などあらゆるビジネスシーンで想定される様々なトラブルの正しい解決法を、ときにユーモアを交えながら伝授するコラムです。更新は原則第4水曜日。アーカイブはこちら

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus