社長を目指す方程式

「高業績の追求」と「良いチーム創り」は両立し得るのか (2/2ページ)

井上和幸
井上和幸

 最高のチームリーダーの「3つの仕事」

 最高のチームリーダーを凡庸なチームリーダーから際立たせているものは、チームのメンバーが持っているこの大きく2種類の欲求を満たすことができる能力だということが、ADPリサーチ・インスティチュートなどでの20年以上の研究から分かっています。ですから当コラム読者の上司の皆さんには、これを使わない手はないですよね?

 これに基づき、もう少し具体的に整理してみますと、上司(チームリーダー)の皆さんには、以下の3つの仕事があると言えます。

・第一の仕事は、チームメンバーが会社の目的と未来を自分のものと感じられるように手助けすること。

・第二の仕事は、チームメンバーが集団として互いを理解し合い、支え合えるよう図ること。

・第三の仕事は、チームメンバーが、自分は一人の人間として認められていると感じながら、自分は期待されていて、どうすれば今後ベストな仕事ができるかを理解できるよう手助けすること。

 どうでしょう? 上司の皆さんご自身が、自分でも社長などご自身のボスに求めたいものでもあると思います(笑)。もちろん上司の皆さんご自身がこれらを満たす働き方をされていらっしゃることが非常に重要で、それと同じセットアップを自チームに組み込むことこそ、このタフな状況を乗り越え高業績を上げ続ける要諦なのです。

 改めて、高業績チームのメンバーが持つエンゲージメント8項目をおさらいしておきましょう。

・私は、会社が掲げる使命に対して心から貢献したいと考えている

・仕事上で、自分に期待されていることを明確に理解している(仕事における目的)

・所属チームのメンバーと価値観が共通している

・仕事で毎日、強みを発揮するチャンスがある(卓越性の発揮機会と支援)

・チームメイトが私をサポートしてくれる

・優れた仕事をすれば、認められることがわかっている(チームとしての一体感)

・会社の未来は明るいと強く信じている

・仕事では常に、成長が求められている(未来を切り拓く)

 これらを可能な限り満たすべく、3つの仕事にさあ、取り組みましょう!

 改めて強調しますが、高業績を上げる高エンゲージメント状態が創れるか否かは、チームリーダーである上司の皆さんが鍵を握っています。だからこそ「3つの仕事」をしてくれる上司か否かについて、このウィズコロナ下、これまで以上に強く問われるようになっているのです。

 <部下たちの「自分自身」「チーム」「会社」に対する意味・意義をしっかり持たせてあげることでこそ、業績は上がるのだ。良いチームと高業績は対立するものではなく両立するものだ。それ以上に密接に相関しているのだ>

 こうしたことを常に携え、日々の事業、業務に当たる上司の皆さんが、今後のニューノーマル(新常態)で求められる上司、将来社長になる上司です。

▼“社長を目指す方程式”さらに詳しい答えはこちらから

井上和幸(いのうえ・かずゆき)
井上和幸(いのうえ・かずゆき) 株式会社経営者JP代表取締役社長・CEO
1966年群馬県生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、株式会社リクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に株式会社 経営者JPを設立。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。
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【社長を目指す方程式】は井上和幸さんがトップへとキャリアアップしていくために必要な仕事術を伝授する連載コラムです。更新は原則隔週月曜日。アーカイブはこちら

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