パジェロで言えば、プロ仕様の特装車にも多く使われた本格オフローダーとしての武骨さ、ヘビーデューティーがユニークで支持されていたのに、広く売られ使われるようになればどうしても「乗り心地をもっと良くして欲しい」「内装はもっと豪華な方が良い」「こんな便利な装備が欲しい」とどんどん意見が出てきます。でも、それらの要望に応えれば応えるほどに、普通の乗用車的なクルマとなっていき、性格があいまいになってしまう部分もあったように思います。
ブランディングの真髄は関係者のブランドコンセプト共有
自動車のようにモデルサイクルが長く、関係者が多いプロダクトこそ、ブランディングがつくづく大事だと思います。ブランディングと言うと、生活者にそのブランドの魅力を表現しアピ-ルする対外的な活動と捉えられることが多いかと思います。もちろんそれはそれで正解なのですが、実はそれ以上に重要なのが関係者全員でブランドコンセプトに対する認識を一致させることなのです。つまり変えてはいけないところ、変えていくべきところ。その認識が生活者、マーケットよりはるか以前に開発、製造、販売、マーケティングに関わる全関係者で共有される。それこそが、長く愛される秘伝のタレを守る秘訣。まさにブランディング活動の真髄なのです。
真偽は不明ですが、ネット上にはパジェロブランド復活を期待し予言する声も散見されます。ぜひ、仕切り直して再びピカピカのパジェロブランドで市場に戻ってくる日があれば大歓迎したいと考えます。パジェロは間違いなく復活に値する価値、資産をもつブランドに違いないのですから。
【ブランドウォッチング】は秋月涼佑さんが話題の商品の市場背景や開発意図について専門家の視点で解説する連載コラムです。更新は原則隔週火曜日。アーカイブはこちら