深く、広く、親密な人的ネットワークの必要性
私たちは、大抵のことはインターネットを検索すれば、かなり専門的な知識まで情報収集可能となってしまいました。つまりそれはあなただけでなく、世界中の誰もが容易に手に入れられる情報や知識です。広く浅い知識を持っているだけでは価値を生み出せなくなり、知識の深さが求められるようになっています。
あなたが一人孤立した状態で、高度な専門知識(深い知識)が身につくことは考えづらく、未来に必要とされる高度な専門知識を効率良く習得するためにアドバイスと支援をあなたに与えてくれる比較的少人数のブレーン集団が不可欠。これが「ポッセ(同じ志をもつ仲間)」です。
一方で、解決したい課題が大掛かりで複雑に入り組んでおり、イノベーションを必要とするのであれば、ポッセだけでは解決が難しいでしょう。必要なのはスケールが大きくて斬新なアイデアです。
その巨大な情報データベースの発信元となっている人的資源に広く浅くリーチする場を持つこと。これが「ビッグアイデア・クラウド」です。テーマや関心ごとに世界規模で形成されるオンライン上などでのコミュニティがこれに当たります。
そして全てがオンライン上でコミュニケーションされる新常態であるからこそ、情報の渦の中での慌ただしさ、孤独に対して、支えと安らぎの源となるコミュニティが不可欠となることは、まさにこの新型コロナ禍の中でリモートワークを経験している多くの皆さんが痛感していることではないでしょうか。
「孤独を味わい、いつも時間に追われるようになる恐れがあるのだ。バーチャル空間で過ごす時間が増えれば、生身の人間との接点が少なくなり、現実世界での情緒面の支えと安らぎを得る機会が減る」(『WORK SHIFT』)
まさにこのコロナ下でのリモートワーク状況を見て書いたようなグラットン氏の文章です。そこで情緒面の支えと安らぎを与えてくれる人間関係、すなわち「自己再生のコミュニティ」を築く重要性が増すのです。