ミラノの創作系男子たち

「できるだけ多くのピッチに立つ」事の大切さ ぼくが会いたい人たち (1/3ページ)

安西洋之
安西洋之

 本連載はクリエイターと称する人たちだけを紹介しているわけではない。即ち、アーティストやデザイナーなどだけでなく、自分自身で独自の人生を切り開いている(=クリエイティブ)と思われる人に会って話を聞いてきた。

 今回はいつものように誰かにインタビューするのではなく、このテーマに関するぼく自身の考えを書きとめておこうと思う。

 実は、数年前、他のメディアでイタリア人の趣味生活を連載したことがある。1年半ほどで30人を取り上げた。その時に重視したのは、次のようなことだった。

 人生とは小さな経験の積み重ねだ。あることは自分の意志とはまったく関係なく偶然に遭遇した状況で獲得する経験であり、あることは自分の意志で立ち向かい、上手くいくかいかないかは別として、そのプロセスのなかで獲得する計画的な経験である。

 あえて若い世代とその上の世代の違いを言うと、若い人の心には、上述の偶然に出逢う小さな経験のそれぞれがお互いにどう繋がるか分からない苛立ちが潜んでいる。

 「こんなことをやっていて、何の役に立つのだ!」「これをやろうと思ったが、散々な結果になってしまった・・・」と悲嘆しがちだ。

 しかしながら、ある世代になると小さな経験の数々が後になって統合される。または小さなことが大きなことに繋がる実体験をもつようになる。ピンチはチャンスだと身体で知っている。だから、小さな不運も鷹揚に受け止める、あるいは楽観的になりやすい。

 趣味も例外ではない。仕事に活用する目的で趣味を選べば趣味とは言えないが、結果的に趣味と仕事は考え方などどこかでつながってくる。そこで以前の連載では、仕事や家庭生活が趣味生活とどう相互に影響し合うか、それらが生き方のなかでどう統合される。これらをインタビューの焦点においた。

 インタビューの対象は40代以上が多かった。

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