社会・その他

“産業スパイ”から技術と社員をどう守るべきか 「怖いのは悪意なき漏洩」 (2/2ページ)

SankeiBiz編集部
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日本企業はどう“自衛”すべきか

 日本では、産業スパイに対する法整備の遅れが産業界から指摘されてきた。韓国鉄鋼大手「ポスコ」の情報漏洩など海外企業による産業スパイ事件が相次いだことを受け、平成27年に不正競争防止法が改正され、法人に対する罰金の上限を10億円に引き上げるなど厳罰化されたが、産業スパイは後を絶たない。

 次世代通信規格「5G」の開発競争など情報技術をめぐる覇権争いが過熱する中、今年1月には、在日ロシア通商代表部職員の求めに応じて勤務先の大手通信会社「ソフトバンク」の機密情報を不正に持ち出したとして、元社員が警視庁に逮捕される事件もあった。

 福田教授は「さらなる厳罰化を含めた法改正の議論も必要だが、カウンターインテリジェンスの意識を高めることが大切だ」との見解を示す。カウンターインテリジェンスとは、国家機密の漏洩を阻止するといった防諜活動のこと。スパイの脅威にさらされているのは企業だけではない。「中国の留学生が大学の先端研究の結果を中国に持ち帰ってしまうという問題も指摘されている。技術を盗まれる可能性のある現場でどうやって情報を守っていくか。産学官で連携しなければならない」(福田教授)。

 SNSを活用し、ヘッドハンティングを装って接触を図るなど最先端技術を狙うスパイ活動は巧妙になっており、今回の事件は「氷山の一角」にすぎない可能性もある。とはいえ、外国企業との連携や学会を通じた交流などもある中、社員に忍び寄る産業スパイに対抗するため、日本企業はどうすればよいのか。

 福田教授はこう強調する。

 「他国の企業関係者との交流を禁じたり、社員個人のSNS利用に企業が介入したりすることは難しく、現実的ではない。また社員や技術者の研究活動を阻害し、人権や自由を損なうことにつながり、問題がある。日本ではスパイ活動に対する教育が行われてこなかった。日本企業の自衛には、社員に対するインテリジェンス・リテラシー(情報解析力)を高める社会教育を徹底することが重要。産業スパイが狙っているのは社員個人の情報ではなく、その背景にある日本企業の技術であるという認識を忘れてはいけない」

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