働き方ラボ

三井物産の新社屋を訪問 オフィスのメリットを再確認した (2/3ページ)

常見陽平
常見陽平

 フリーアドレスでコミュニケーションコーナーが設置されているという状態自体は、いかにも最近のオフィス風に見えるかもしれない。しかし、細部に渡るコミュニケーション促進への工夫が“ニクい”のだ。Co-Workのフロアには通行する人から丸見えのオープンな会議スペースがあり、液晶ディスプレイとソファも設置されている。これにより自由な雰囲気で議論することができるだけでなく、通りがかった人が気軽に会議に参加することも可能だ。「この案件、昔、担当していたよ」「○○社の社長ならよく知っているよ」など、周りの人がプロジェクトを前にすすめるヒントをくれることだってある。

 特に筆者が「そこまでやるか」と感動したのは、各フロアのコーヒーメーカーのスピードだ。コーヒーができる時間をあえてゆっくりめにしているフロアがあった。これにより、待っている間に偶発的な会話が生まれるようにしている。

 このように、いちいち多様な個人の力を最大限引き出しつつ、偶発的な出会い、自発的なコミュニケーションが生まれる仕掛けが細部にまで仕込まれているのである。快適に働き、さらには当事者ですら想像できないような新しい価値を生み出す仕掛けが、そこにはあった。

 新社屋への移転の年に新型コロナウイルスショックが直撃し、この取り組みを気の毒に思う人や、中には揶揄する人さえいるかもしれない。「今さらオフィスに力を入れるなんて」という批判だ。しかし、この批判こそ的外れだろう。最近は大手企業も含め、オフィス面積の見直しや、事実上のオフィス廃止の報道も目立っている。ただ、あくまで「面積見直し」や「最適化」であって、必ずしもオフィスに価値を見出していないわけではない。ベンチャー企業などでは、オフィス不要論を「新しい働き方」などとセンセーショナルに伝えている例も中にはあるが、実態は業績悪化を止血するための苦渋の決断ということもある。

 むしろ今、リアルなオフィスが存在するべき意味を再確認できる場だった。快適に働く、社内外の仲間と一緒に何かに取り組む、偶発的な出会いを実現する、何かと安心できる、そこでしかできないコミュニケーションをする。これらがオフィスの価値だろう。なお、同社では、もちろんリモートワークは導入されている。リモートと組み合わせることによって、新オフィスの価値はますます高まるといえるだろう。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus