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罪作り?なトヨタ「センチュリー」 “雲上ブランド”ゆえの公用車問題 (1/3ページ)

秋月涼佑
秋月涼佑

 全国的に突然取りざたされたトヨタ「センチュリー」知事公用車問題。山口県知事は「検討十分でなかった」と新車購入を反省し、長野県では20年保有してきた車両を急遽ネットオークションに出品することが決まるなど、もはや鬼子のような扱いをされています。最後まで「なんで見直さないといけないのか」と主張するのは兵庫県の井戸知事ですが、一部県議から「契約解除の申し入れ書」が提示されるなど、まだすんなり後部座席に収まれそうにありません。

キャリア官僚は公用車の「車格」にこだわる

 なぜこの問題はここまで炎上したのでしょうか。

 井戸知事は、「県土が広く高低差がある山道を走行する機会が多く、馬力があって故障しない、信頼性の高い走行性」を第1条件とし、安全性、長距離移動での居住性、環境性能の4点を選定理由に挙げたそうですが、この説明では指摘されている異論の趣旨に答えているようには思えません。

 山道での走行性能を言ってしまえば、同じトヨタだけで見ても悪路走破性能で世界的に高い評価を受けているランドクルーザーなど複数の候補車種がすぐに思い浮かびます。安全性、長距離移動での居住性、環境性能でも引けを取らない車種は十分選定可能でしょうし、実際に他県の知事公用車ではトヨタアルファード・ヴェルファイアのワンボックスタイプのバンが人気です。

 要は機能性や性能で説明しようという井戸知事の問答は、この問題の本質ではないのです。

 自動車には「車格」という概念があります。エンジンの排気量や車両の大きさ、内外装の仕上げ、その車種ブランドの歴史、ステータス。様々な要素を複合的に反映した概念で、暗黙知的な部分もありますが、例えばレンタカーなどの1日当たり料金などを見れば、概ねその序列が表現されているかと思います。

 そしてこの「車格」、官公庁のような厳密な役職ヒエラルキーの世界では大きな意味をもっており、同じ公用車でも各役職が使うべき車両は明確に決まっているのです。現在では運用の厳密さに多少の融通があるように思いますが、かつてで言えば、官公庁の特定の役職にだけ向けた某車種の内装を少しだけアップグレードした専用車種さえ販売されていたくらいです。

 兵庫県の井戸知事は、官僚出身の古株知事として、やっぱりいつか最高車格のセンチュリーに乗りたかったというのが本音だったのではないでしょうか。

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