気が付けば東京の街並みも超高層ビルが随分立ち上がりましたが、港区、渋谷区、品川区、中央区、江東区の湾岸地域などが中心で、文京区は江戸以来の街並みが再開発を難しくしている事情もありますが、やはり閑静で昔ながらの街を愛する住民の方々の抵抗感が大きいのかなと感じてしまいます。
新型コロナウイルス流行で奇しくもリモートワークが普及し、地方居住の可能性なども取りざたされていますし、現実的なコストの低さを含めたライフスタイルの選択肢が増えることを素晴らしいことと考えます。でも、どんな時代になっても人も情報も集まる都市居住に魅力を感じる層は一定数いるように感じます。そして、そんな都市居住のニーズの受け皿がタワマンに代表される大規模集合住宅の供給以外、現実的な解は存在しないに違いありません。一方で、いわゆる「ホットスポット」論、再開発エリアに集中して新しい一部の層が居住し、働くことに対する既存住民の警戒感が、新たなタワマン等供給の障害となっているようなのです。
東京都心の大規模再開発と言えば、「六本木ヒルズ」などグローバルビジネスエリートをターゲットにしたものが有名ですが、ファミリーターゲットにも定評のある三井不動産であればこそ、ヒエラルキー意識から解放された、開かれた価値観に基づく、東京の未来を示すような都市ブランディングをプレゼンテーションして欲しいものだと思っています。
また、生活者の活動基盤が「住」にあることは、在宅勤務の中あらためて誰もが実感したところです。アフターコロナの時代、あえて都市生活から離れる人、都市生活に踏みとどまる人、それぞれ生活者の選択と例えば、野球やコンサートなどレジャー・エンターテイメントとの関係。例えば、都市型商業施設との関係-。
東京ドームシティが新しいブランドをまとう時、再定義されるべきテーマはとても多いように思います。
【ブランドウォッチング】は秋月涼佑さんが話題の商品の市場背景や開発意図について専門家の視点で解説する連載コラムです。更新は原則隔週火曜日。アーカイブはこちら