相手の気持ちを鷲掴みにする4つの要素
同じく岡本さんは、超一流のコミュニケーションの達人は以下の4つの要素を組み合わせて褒めると解説しています。
①「承認」――相手の存在や行動に気づき、認めること (例)「なるほど、そういうやり方もあるね」「最近、目の色が違うね」
②「共感」――相手の気持ちや意見に同調し、賛同・肯定をすること (例)「その気持ちすごくわかるよ」「そのとおりだね」「つらかったでしょう」
③「賞賛」――優れた点を褒めること (例)「いいセンスだね」「非常に勉強になったよ」「さすがプロの仕事だね」
④「感謝」――「ありがとう」と礼をいうこと (例)「いつも、きめ細かく気を配ってくれてありがとう」「的を射たアドバイス。感謝の気持ちでいっぱいです」
岡本さんはそれぞれの言葉「承認(みとめる)」「共感」「賞賛(褒める)」「感謝」の1文字をとって「ミカンほかん(保管)の法則」と名付けています。単純に「すごいね」と褒めるのと、この4つを組み合わせながら褒めるのでは、受け手への伝わり方や印象がまったく違うのです。
例えば、部下や同僚が長らくの営業努力の結果、大型商談を獲得しチームの目標を達成した時に―。
「大口の契約がとれたそうだね」(承認・認める)
「ここに来るまでには、なかなかうまくいかず、つらい思いをした時期もあったから、余計うれしいよね。その気持ちはよくわかるよ」(共感)
「チームのメンバーにも気を遣い、お客様への心配りも素晴らしかった。よくがんばった」(賞賛・褒める)
「心からおめでとう。そして本当にありがとう」(感謝)
単なる「ありがとう」「お疲れさま」ではなく、「これを1日で仕上げてくれたなんて、本当に助かったよ。ありがとう!」「ニーズを徹底的に聞き出した上での的を射た提案、クライアントも『こういう提案を待っていました』と、とても喜んでいたよ」等等。4つの要素のいずれかを「盛ってみる」ことで、気持ちの伝わり方が大きく変わりますよね。
どのような場面でも、同じ事象に対して、こちらがとても嬉しくなる、気持ち良いフィードバックや声がけをしてくれる人と、なぜか伝わってこない、下手をすると逆に感情を逆撫でするような言葉を投げて来る人。あなたがチームメンバーにしたい人はどちらか、もう確定済みのはずです。
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「3つの原則」と「4つの要素」を盛り込んだ「7つの秘訣」を使えば「世界最高の褒め方」は誰でも今日から実践可能なのですと岡本さん。いや、「褒め方」に留まらず、7つの秘訣で、いついかなるときでも「相手の心をグッと掴み、大きな成果をあげるコミュニケーション」ができる人材になるのです。
部下の採用基準として、外部パートナーの選定基準として、またメンバーのコミュニケーション面での育成ポイントとして、ぜひ活用したいですね。もちろん上司の皆さんご自身の「相手の心を鷲掴みにする力」アップ策としても役立てていただけければ、コロナ禍においても顧客からの依頼が引きも切らない千客万来チームとなること、間違いなし!です。
【社長を目指す方程式】は井上和幸さんがトップへとキャリアアップしていくために必要な仕事術を伝授する連載コラムです。更新は原則隔週月曜日。アーカイブはこちら