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試練の時を超え スカイマークが「空のユニクロ」になるための条件 (2/3ページ)

秋月涼佑
秋月涼佑

アフターコロナ、生活者のマインドセットが完全に変わる

 それにしても、何より心配されるのは、コロナ以前と以後で生活者のマインドセット(思考様式)が完全に変わってしまうことかもしれません。例えばビジネスの世界でも、以前は当たり前に出張前提でセッティングされた会議が今回必要に迫られて普及したリモート会議に少なくともその何割かは置き換わってしまうように思います。

 そして以前は多くの人が強いモチベーションを感じていた、個人や家族の飛行機を使っての旅行も、1年以上計画さえできない日々を過ごしてしまうと、そんな気分自体がどこかに行ってしまったように感じます。

 そんな、厳しい未来予測の中では前向きな夢も描きにくいというものですが、まだまだチャレンジャーのポジションにいるスカイマークのような会社にとって、パラダイム変化のタイミングが最大手との序列をひっくり返す道筋のチャンスに違いありません。

レガシーキャリアのサービスを中途半端と感じる時代

 振り返れば、世界の航空産業は一貫して大衆化の歴史を歩んできました。2019年世界の航空旅客数は45億人と発表されていました。(「2020年の航空旅客数は18億人、前年比6割減で2003年水準に ICAO発表」

 狭い国土の日本では、国内や地域内での飛行機移動の需要が大きなアメリカやヨーロッパに比べると大衆化のスピードは比較的ゆっくりで、独特の”おもてなし”文化の背景もあり、貴族が王様をもてなすような手厚いサービスが標準仕様という時代が長かったといえます。黎明期に和服のスチュワーデスさんがラウンジ然とした機内で乗客をもてなす記録写真などは今見てもインパクトがあります。

 そう言えば、そんな飛行機に乗ることがまだまだ特別なものという空気が日本に残っていた時代に、友人を成田空港の到着ゲートで待っていると、当時現役の駐日アメリカ大使がフラリと一人スーツ姿の片手にドーナツでも入っているようなシワシワの紙袋だけをもって出国審査から出てきたとき、なんとも言えない衝撃を受けたことを思い出します。お付きの人もいない、手ぶらに近い恰好のカジュアルさは、少なくとも彼にとって飛行機に乗って海を渡ってくることが、何ら特別な構えの必要なものでないことがその風情から察せられました。

 それから長い時間が経ちますが、日本の航空産業も、空港設備の営々とした拡張にともなう輸送力拡大、JALの経営破綻やLCCの参入など、歴史の中で徐々にカジュアルな移動手段になってきたように感じます。 

 一方で、失われた30年に適応して日本の生活者の地位財に対する執着は驚くほどなくなりました。そんな時代に、レガシーキャリア(フルサービスの伝統的大手航空会社)のオーバースペックでありながら、かつてほど本当の特別感のないサービスは中途半端に感じる部分がなくはないように思います。

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