(1)未来型
- 店員「どんなシューズをお探しですか?」
- 客「えーっと、軽くて、クッション性の高いのがいいかな…」
- 店員「それだとこれがオススメです」
(2)現在・過去・未来型
- 店員「今履いているのはどのシューズですか?」
- 客「これです」
- 店員「これはかなりのクッションが特徴ですね」(現在について共有)
- 客「そうなんです」
- 店員「これの前はどのシューズを?」
- 客「~というモデルです」
- 店員「それはそこまでクッションがないものですね。クッション性のモデルに変えたのは、足が痛くなったからですか?」
- 客「そうなんです。でも今のはちょっと重いんですよね」(過去の共有)
結局同じ商品やサービスを提案することになります。しかし、現在・過去の情報を共有してから買った(2)のパターンの方が圧倒的に満足度が高く、リピート率も高いのです。(2)のプロセスを踏むことで、顧客自身が頭の中を整理して「なぜこれを買うのか?」を納得できるのです。
100点の商品などありません。後々「ここは気に入らないな」という点が出てくるはずです。しかし、(1)の場合は「なんだか満足いかない製品を買わされた」という印象が強く残る一方、(2)の場合は「自分のことを理解してくれている店員さんだから、もう一度しっかり話を聞いてもらって次によりより買い物をしよう」という思いになるのです。
かつて、糸井重里氏のつくった広告に「ほしいものが、ほしいわ」というコピーがありましたが、自らの欲求を把握していないどころか、考えずに生きているとも言えます。
「未来」はスベりやすい 「現在と過去」というファクトをつかむ
ビジネスの現場では「ウチのこの商品を使えばこんな素晴らしい未来になりますよ」という話をしたくなるものです。しかし、「未来」の話ほどあやふやで変わりやすいものはないのです。そして、「未来の話」はスベりやすいのです。
私が駆け出しのコンサルタントの頃に、「若造が夢や未来の話を売れると思うな」と強く指導されました。経営コンサルタントは優秀だなんだと言われていて、さらにそれなりの情報も持っていると「こうすべき」とか「こんなすごいことが」と提案してしまいがちなのですが、社会人歴数年の人間の提案する理想像や未来像は顧客目線では陳腐なものに見えることがあります。まだ信頼関係のない売り手と買い手の関係であればなおさらです。
そんな状況では、「現在と過去」というファクトをしっかりとヒアリングして整理し、共有することだけでも「この人は自分のことをわかってくれている」という信頼につながります。その信頼こそ「未来の話」の納得感へと繋がるものなのです。
私たちの学習教室では、
- 「将来何がしたいの?」
- 「どんな学校に行きたいの?」
という問いかけも大事ですが、
- 「今何が好きなの?」
- 「今まで何が楽しかった?」
- 「嫌だったことは?」
という過去・現在に関する事実の収集を怠ってはいけないと常々共有しています。この問答を通じて、生徒や保護者の頭の中が整理されてきて、より明確な指針が見えてくるからです。
【今日から使えるロジカルシンキング】は子供向けにロジカルシンキングのスキルを身につける講座やワークショップを開講する学習塾「ロジム」の塾長・苅野進さんがビジネスパーソンのみなさんにロジカルシンキングの基本を伝える連載です。アーカイブはこちら