その分野のことを長く見てきた人の意見については否定的な見方もある。部外者から見れば悪習としか言いようがないことも、「仕方ないこと」として悪習を温存してしまうことが往々にしてある。いわばイノベーションを阻止する側にまわりやすい。
但し、そうした危惧があるとしても、筋の通ったことを語る人の存在を不要だと断言するのは道理が通らない。教育問題ほど多くの人が積極的に考え発言できるネタでさえ、プロの声に耳を傾ける意味があるのだ。
いわんや、国際紛争と教育問題の間に大きく広がるゾーンをしかるべきアプローチでコンスタントに見続け、そこで起きている事実を伝え、その解釈のありようをいくつか示してくれる人が不要であるはずがない。
実は大人になり年齢が増え、経験を多く積めば世界がより分かるのではないかと漠然と思っていた時期がある。しかしながら、経験を積めば積むほど、自分ではどうしても分からない部分がはっきりと見えるようになってきた。目の前の状況の背後にはいくつか想定される動機があるかもしれないが、それを「こうだ!」と確定するには事情に疎すぎる、判断基準のあり方に無知だと自覚をするようになってきたのである。
したがってぼくは、(サポートする動機を持ちやすい政治や経済だけでなく)社会問題に対しても、それを専門とするプロジャーナリスト集団が活動できる基盤が用意されて欲しいと願っている。
【ローカリゼーションマップ】はイタリア在住歴の長い安西洋之さんが提唱するローカリゼーションマップについて考察する連載コラムです。更新は原則金曜日(第2週は更新なし)。アーカイブはこちら。安西さんはSankeiBizで別のコラム【ミラノの創作系男子たち】も連載中です。