伝え方や言い回しを変えると、自分を取り巻く環境が変わり、やってくるチャンスも変わっていきます。皆さんは自分のコミュニケーションに自信がありますか? この連載ではコミュニケーション研究家の藤田尚弓が、ビジネスシーンで役立つ「最強のコミュニケーション術」をご紹介していきます。第29回は「職場のトラブル回避」がテーマです。
仕事で成果を出そうとするあまり…
仕事では成果を出すことが重要です。しかし、責任を全うしようとするあまり、他者の感情をないがしろにしてしまうのは、なるべく避けたいものです。職場に対して何を求めるかという先行研究によると(*1)、第一位は「職場のコミュニケーションが良好であること/職場の雰囲気がよいこと(66.7%)」だそうです。
どんな言動が職場の人を不快にさせるのか。トラブルを予防するためには、普段からどんなコミュニケーションをとればよいのか。今回はトラブル回避のためにやっておきたい言い換えフレーズを確認しておきましょう。
4割以上の人が不快に感じる「職場トラブル」とは
働いている人なら、誰でも一度くらいは職場の人の言動にイライラさせられた経験があるのではないでしょうか。具体的にどんなことが不快に感じるのか、調査で4割以上の人が不快に感じた経験を見てみましょう(*2)。
同じ職場のメンバーにイライラさせられたり、困った事があったりした経験
1.礼儀作法・言葉遣いに関する事(48%)
2.仕事に対する姿勢や努力に関する事(45%)
3.性格や価値観に関する事(44%)
4.業務の説明の過不足に関すること(44%)
5.仕事の成績や進行スピードに関すること(41%)
この結果を見て、誰かに対してイラっとした経験を思い出した人もいるのではないでしょうか。自分が不快に思われないためには、どうすればよいのか、コミュニケーションのポイントをご紹介します。
無作法やくだけた言葉遣い→「言葉と態度の組み合わせで敬意を示す」
業界や社風などによって礼儀作法には差があると思います。まずは自分が属するコミュニティの文化がどのようなものか、再度確認し、基本的にはそれに則った振る舞いを心がけるのが良いでしょう。
多少くずした言動をする場合でも、表情や態度などの非言語コミュニケーションを意識して「敬意の総合点」が変わらないようにすればOKです。具体例を見てみましょう。
- 《例》親しい先輩とランチに行ったケース
- ややカジュアルな敬語で話すが、先輩には上座に座ってもらう
- 《例》取引先の人と休日に偶然会ったケース
- 普段よりもややカジュアルな雰囲気で話すものの、別れ際には丁寧に挨拶をする
ややくだけたコミュニケーションをとることは、相手との距離を縮めるのに効果的な方略です。そんな場合でも、相手を立てる行動をして補うようにすれば、不快な思いをさせずに済みますので意識してみてください。