社長を目指す方程式

できる上司の「当たり前の基準」を盗め 達成し続ける人の心理学 (3/3ページ)

井上和幸
井上和幸

 あなたの「達成確率」に関する当たり前の基準は?

 こうしたことの繰り返しで、私たちの心には「達成するのが当たり前」というマインドセットが埋め込まれる場合と、「達成なんてなかなかできるもんじゃない」というマインドセットが埋め込まれる場合とがあります。

 頭の中で基準となっている数値や情報に強く影響を受けて判断してしまう意思決定プロセスを「固着性ヒューリスティック」と言います。自分の売上額や行動量についての「基準」、固着性ヒューリスティックがどこにあるか、この機会にぜひ確認してみてください。

 月末、期末に帳尻を合わせようと考える人。下旬に入るまでには達成してしまおうとコミットする人。目標数値まで行けば良いと考える人。120%達成を自主目標とする人。150%、200%を追う人。部内でそこそこ以上に入れば良いと思う人。トップを獲得したいと狙う人。全国1位になりたいと野心を持ち行動する人―。ある意味、スタート時点や途中経過時点での目標の持ち方で、すでに差は生まれており、勝敗も確定しているのです。

 どうせなら、高業績派のヒューリスティックに寄せる、上書きするなどしてみませんか。「80%を目指している人より、120%、200%を目指している人をベンチマークする」「部内1位より、全国トップ3の人を目標にする」など、比較対象を変えてみるのも良いかもしれません。

 連続で目標を達成する人が、なぜ達成し続けるのかと言えば、達成を続けている人にとっては、未達成は何としても避けたいことだからです。

 達成の科学・その3は、「あなたの周囲にいる人たちを変えることで、あなたの『固着性ヒューリスティック』を上書きする」です。

 類は友を呼ぶと言われるように、できる集団に入ることは大事なのです。いわゆる「進学校効果」ですね。この観点も、転職先を検討する際にひとつの要素としてみていただきたいことです。

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 過剰な無理は禁物ですが、あなたがどんな「当たり前の基準」を持つか、どんな「当たり前の基準」の集団に身を置くかで、人生は大きく変わります。社長を目指す上司なら、社長レベルまで「当たり前の基準」を上げてみては? 周囲に遠慮は無用です(笑)。

▼“社長を目指す方程式”さらに詳しい答えはこちらから

井上和幸(いのうえ・かずゆき)
井上和幸(いのうえ・かずゆき) 株式会社経営者JP代表取締役社長・CEO
1966年群馬県生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、株式会社リクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に株式会社 経営者JPを設立。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。
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【社長を目指す方程式】は井上和幸さんがトップへとキャリアアップしていくために必要な仕事術を伝授する連載コラムです。更新は原則隔週月曜日。アーカイブはこちら

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