■幼稚園跡地を利用したアグリワーケーション施設
さて、そうして本格的に深谷市での事業参入に乗り出した同社ですが、2019年10月31日の最終審査での最優秀賞受賞後、翌2020年3月25日に深谷市からの出資が実行され、正式にアグリテック集積宣言の第一号として深谷市へ進出。同市の農業課題の解決ひいては日本全国の農業課題解決に向けた取り組みがスタートしたのでした。同社と深谷市は候補地選定をおこない、綿密な地域との連携や実証実験を通し、その取り組みは深化をし、本年2021年3月19日(金)に「楽しさ」「学び」「仕事」「癒し」「農業」を一つに集約した施設として「ONE FARM深谷Works」をオープンしました。
昨年から続く新型コロナウィルスの影響もあり、場所を選ばない働き方の一つとして「ワーケーション」という言葉がビジネスシーンにおいても活用されるようになりましたが、同社と深谷市の取り組みはこの概念と農業を掛け合わせた「アグリワーケーション」という新たな働き方、生き方を提唱する取り組みとして産声を上げたのでした。
今回この施設の場所は廃校となった深谷市内の幼稚園跡地が利用され、施設内には太陽光利用型植物工場「VEGGIE」や、ワークスペースを装備した「VEGGIE Works」、土耕エリア、テントサイト、デッキサイト、ピザ窯、ドッグランなどを設置。まさにコンセプトである「楽しさ」「学び」「仕事」「癒し」「農業」が提供できる場が生まれました。今後、多様な人材が様々な用途で訪問し、深谷の農業や最先端の農業と触れ合い、新たな雇用が創出されること、新しいイノベーションが生み出されることが大いに期待できます。
また、グリーンラボ社としては『Bi-Grow』から得たビッグデータを解析し、AIによる農場管理や栽培装置の自動制御、解析結果に基づいた栽培指導が可能となり、次世代農業と、太陽光発電など再生可能エネルギー事業を組み合わせた理想の地域社会である『アグリトピア』を深谷市で実現する第一歩がはじまったのでした。
今回はグリーンラボに焦点を当ててご紹介しましたが、同じようにAgritech Awardを受賞した各社の深谷市での実証実験の開始等が本格化しており、まさにアグリテック集積宣言通りの未来向けた取り組みが産声を上げた状況となっています。
■深谷市の取り組みについて
農業の世界は、他のビジネスマーケットに比較すると変化に対しての時間軸はスローであり、変化しないことが当たり前の部分がある産業です。私は民間企業として未来の為にその点を打開して未来を創造したい。そんな思いでマイナビ農業をスタートしたという経緯があります。
今回紹介したグリーンラボの長瀬社長も同じような思いを持って取り組みをスタートされています。そんな民間企業の想いを汲み、理解をした上で、圧倒的なスピード感を企業と共に持って、着実にそしてアグリテック企業の地域参入が実際に始まるという大きな第一歩を作り上げた深谷市のこれまでの取り組みは特筆すべきものがあります。
そしてこの取り組みの先に農業都市深谷として地域の農業の未来を支える。そして日本の農業の未来を支える取り組みが続いていくこと。10年後に「まさに農業のシリコンバレーみたいに深谷市さんはなりましたね!」と笑って関係者の皆様とお話が出来る未来になる事を心から願っています。
【「ビジネス視点」で読み解く農業】「農業」マーケットを如何に採算のとれるビジネスとして捉えていくか-総合農業情報サイト『マイナビ農業』の池本博則氏が様々な取り組みを事例をもとにお伝えしていきます。更新は原則、隔週木曜日です。アーカイブはこちら