働き方ラボ

「飲んだ次の日ほど、朝一番に出社しろ」心に残る“サラリーマン格言”を考える (3/3ページ)

常見陽平
常見陽平

 サラリーマン格言を更新せよ

 我々がしなくてはならないのは、サラリーマン格言を更新することである。時代に合わなくなっているものも多々ある。そもそも、迷信でしかないものもある。

 少しだけ、その格言の迷信についてもふれておこう。サラリーマン格言にしろ、各社の社是・社訓にしろ、そのとおりにやったら馬鹿を見るということがある。電通の「鬼十則」などがそうだ。過労自死事件が起こってしまった。「殺されても離すな」という表現が問題視され、社員手帳からは削除された。ただ、電通社員の間ではかなり前から、一部では最高のビジネス訓とされつつも、「もはやパロディ」という声もあがっていたと聞く。

 私の古巣リクルートの「自ら機会を創り出し機会によって自らを変えよ」もそうだ。熱心なOB・OGが創業者の江副浩正氏が社長だった頃に配られたプレートを再現して通販で売っていた。リクルートつながりの人はFacebookに「届いたぞ」とアップしていた。個人の想いとともに。率直に、「なんだかな」と思った次第だ。ノスタルジーにどこまでひたりたいのか。

 在籍時から、この言葉の人を鼓舞する力には驚きつつも、実は機会を創るのは個人ではなく上司であること、そして得するのは会社であることに、私は気づいてしまっていたのだった。自ら機会を創るのではなく、いかに機会をくれる人と出会うか、こちらも大事ではないか。

 これはマナーを更新するという行為でもある。マナーもまた、変化の連続である。焼き鳥の串ははずすべきなのか、会議中にPCやスマホでメモをとるのはOKなのかなどだ。皆さんも迷うことだろう。新しい時代のマナー、流儀を模索しよう。

常見陽平(つねみ・ようへい)
常見陽平(つねみ・ようへい) 千葉商科大学国際教養学部准教授
働き方評論家 いしかわUIターン応援団長
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。リクルート、バンダイ、クオリティ・オブ・ライフ、フリーランス活動を経て2015年4月より千葉商科大学国際教養学部准教授。専攻は労働社会学。働き方をテーマに執筆、講演に没頭中。主な著書に『なぜ、残業はなくならないのか』(祥伝社)『僕たちはガンダムのジムである』(日本経済新聞出版社)『「就活」と日本社会』(NHK出版)『「意識高い系」という病』(ベストセラーズ)など。

【働き方ラボ】は働き方評論家の常見陽平さんが「仕事・キャリア」をテーマに、上昇志向のビジネスパーソンが今の時代を生き抜くために必要な知識やテクニックを紹介する連載コラムです。更新は原則隔週木曜日。アーカイブはこちら。その他、YouTubeチャンネル「常見陽平」も随時更新中。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus