あらためてアルペンの取り組みを見ると、際立って使いやすいのが、専用アプリなどからアクセスできるオンラインショップの充実度です。メーカー別注商品や自社企画商品など独自のラインアップの豊富さもさることながら、特にセールのインパクトは大きく、例えば時期によっては同一ブランド商品を4点買うと40%オフ(しかもすでに値引きされているものはそこからさらに)などパンチがあり、数枚のお札で最新のスポーツウエア一式を揃えられたりします。
EC,D2Cとすでに長い期間言われ続けているわけですが、実際にネット空間に魅力的な売り場を確立している企業は多いと言えないように思います。アルペンはそんな取り組みでも一歩先を行っていることは間違いないようです。
■ハウスブランドの整理でさらに大きなビジネスポテンシャル
世の中、老舗と言えば聞こえが良いですが、ブランド価値の陳腐化に身を任せる事業者も少なからずの現実の中、なかなかの復活力だと言えるのではないでしょうか。やはりどんな厳しい市場でも勝ちの目は無いわけではないことに気が付かせてくれるように思います。
そう言えば、少し前に創業者で当時の会長がわいせつ行為で逮捕されたとのニュースが世をにぎわせましたが、逆に言えば創業者がフラフラしていても上手く回るぐらい業務の委譲と組織が完成していたと言えるのかもしれません。
ブランディングの視点では、認知の安心ベースがあってその上は売り場の実力勝負という印象で、必ずしもブランド力が高いとか評価されているとは言えないように見受けられます。実際にカテゴリーによって、「アルペン」や「スポーツデポ」、「ゴルフ5」などハウスブランドが乱立していて、取り留めがありません。今のところは、売り場やウエブ施策の草の根的積み上げの成果が出ての好業績ですが、ブランドの整理とブラッシュアップができればさらに大きなビジネスポテンシャルがあるように思います。
【ブランドウォッチング】は秋月涼佑さんが話題の商品の市場背景や開発意図について専門家の視点で解説する連載コラムです。更新は原則隔週火曜日。アーカイブはこちら