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日本のビジネスは生産性が低い? 思い出すあのエピソード (2/3ページ)

安西洋之
安西洋之

 もう10年以上前の話だ。ヴェネツィアビエンナーレ建築編を仲間たちとミラノから見に行った。アイルランド人、英国人、イタリア人、そしてぼく日本人という構成で6人。皆、デザインの領域で働いている人たちである。

 その年、日本館は建築家の石上純也さんが作品発表していたのだが、この作品が仲間たちと議論のネタになった。石上さんはエコシステム(あの当時はサステナブルではなく、エコという言葉が多用されていた)が実現された世界観を、館内の白い壁いっぱいに鉛筆でそれは詳細に描いたのだ。

 説明によれば、1週間、スタッフともども徹夜の連続でこれを描いたとのことで、そのエピソード自体がPRポイントにもなっていた。

 欧州人の多くは「なんと生産性が低いプロジェクトをやっているのだ! 入口に書いてある趣旨を読めばコンセプトがわかり、それ以上のことがあの壁にはない」と批判するなか、1人のイタリア人が「なんか、日本らしいよね」と「らしさ」で「いいんじゃない?」と皆に問いかけた。

 だが、それで多数派の意見が変わることはなかった。

 ぼくはプロセスというと「生産性」という言葉が結びついて、このエピソードを思い起こす。特に、日本のビジネスは生産性が低いとの議論が出るたびに、あの日のことが頭に浮かんでくるのだ。

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